あんたとあたし紡ぎだす世界も悪くはない

@keikho

第1話

 その日は別に特別な日なんかじゃなかった。

 快晴とはいわないまでも、雲が少し多い晴れた日で、今日こそは家から駅までのみちのりを歩いてみようと思ったけれど、いつものようにギリギリの時間だったので諦めた。

 朝のテレビの星座占いでは、みずがめ座の運勢はいつも通りの中の下。一度だって当たったためしがないから、別に気にしない。

 家から駅までのバスの景色も、乗っている人の顔もみんな同じ。メガネをかけた黒いスーツの女の人は、昨日もあの本を読んでいた。いつも後ろの席に陣取る小学生の、少し大人びた顔もある。

 電車から見える景色だって、混みぐあいだって、いつもと同じ。

 駅から学校までの風景だって、何の変化もなかった。

 ただ、いつもと変わったことがあるとするならば、学校近くのコンビニが、完全に取り壊されてなくなったことと、あたしの胸の高鳴りだけ。

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