雨の日の想い出
勝利だギューちゃん
第1話
休日を利用して、僕は山に出かけた。
登山なんて、本格的なものではない。
まあ、ひとりピクニックだ。
寂しくもあるが、気楽でもある。
でも、山の天気は変わりやすいとは、よく言ったものだ。
いきなり雨が降り出した。
「このタイミングで、来るか?」
そう思いつつ、雨宿りできる場所を探した。
すると、山小屋を見つけた。
あそこで、雨宿りしよう。
小屋の中にはいると、ひとりの先客がいた。
僕と同年代の女の子だ。
「こんにちは」
山では、知らない人とでも挨拶するのがマナーと聞いたので、挨拶をした。
他意はない。
「こんにちは」
明るく返してくれた。
「私は、和鷹真理(わだか まり)と言います。あなたは?」
「わだかまりさん?ですか・・・」
「違います。わだかまりではなく、和鷹真理。変なところで、切らないで下さい」
「ごめんなさい」
思わず謝る。
「で、あなたのお名前は?」
「僕ですか?僕は、仲田凱(なかた がい)です。」
「仲たがいくん?」
「違います。仲田凱です。変なところで切らないで下さい」
「さっきの仕返しです」
わだかまりと、なかたがい。
マイナスな名前があった。
「私は、18歳の高校3年生の、かわいい女の子です」
「自分で言いますか?」
「まず宣伝が大事。あなたは?」
「僕も、18歳の高校3年生。ナイスガイです」
「自分で言う?」
「宣伝が大事」
打ち解けたのか?
タメ年とわかると、タメ口になった。
しばらく、話をしていると雨がやんだ。
「じゃあ、私はそろそろ行くね」
「僕は、もう少し休んでいくよ」
ドアで、見送った。
「友達と、仲たがいしないようにね。凱くん」
「そちらも、わだかまりをしないようにね。真理さん」
雨・・・
想い出をありがとう。
雨の日の想い出 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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