第1話 放課後、図書室
茜色に染まった図書館の窓際で、少女は1人で本を読んでいた。
窓の外から運動部員の元気の良い声が聞こえてくる。
時刻は17:00を回っていて、部活に入っていない生徒のほとんどは既に帰宅していた。
読書なら家でもできるが、彼女にはここにいる理由がある。
昨日から始まった彼女の新しい習慣。
(今まで1人だった帰り道ももう1人じゃない。
今まではただ早く帰りたいだけだった学校も、昨日彼からもらった一言で特別な場所に変わった。
友達から彼氏になっただけなのに、なんだか顔を会わせるのも気恥ずかしい。
でも、
彼に会えるってだけで今まで来たくなかった学校がこんなに愛しくなるなんて。)
そんな事を考えていると、図書室の扉がゆっくりと開かれた。
「お待たせ、帰ろっか」
「うん!帰ろ!」
彼女は、元気よく立ち上がり彼の腕を取る。
窓の外では鮮やかな紅に色を変えた紅葉が、二人の変化を見守るように揺れていた。
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