雨の夜に君を想う
かくたに
第1話冷たい雨の中で(プロローグ)
酷く冷たい、そして同じくらい熱い。
凍える雨の中でその両方が私を貫く。
死んでいるのか、生きているのか。
君を愛し愛された。望むもの全てを手に入れた。なのにどうしてかな?
何年も何年の一緒にいて、小学生の時覚えてるかな?
運動会のリレーで絶対1番になるんだ!って、アンカーで走ってたけど途中で転んでビリになっちゃた。
君はとても泣いていたけど私には君が一番かっこよく見えたよ。
卒業式の時も泣いちゃったね。これからもずっと一緒なのに。あの頃の君はとても泣き虫だった。
中学校の時に行った修学旅行。君は私と同じ班になるって譲らなくて、みんなを困らせたよね。結局、周りの反対を押し切って一緒の班になったね。あの時はドキドキしたよ。
君と見た清水寺、金閣寺、平等院。
どれも一人で見る何倍も綺麗だった。感動した。月並みな言葉だけどそんな言葉しか出てこなかったなぁ。
高校にも何だかんだで同じとこにいったよね。
9クラスもあったのに同じクラスになったね。
運命かな?なんて(笑)
授業中、一生懸命勉強してるふりして、本当は小説を書いてたのも、そのせいで寝ちゃってるのも。その時、寝顔を撮られたことも君は知ってるかな?
小説も、何回も応募して、何回も落ちて、その度泣いていたのも全部知ってるよ。
泣き虫はなかなか治らないね。
それから二年がたったね。ずっと一緒だと思ってた。君も同じかな?
……でももう、一緒にはいられないよ。
私と君は同じときを生きちゃいけないんだ。
だから……、もうさよならだよ?バイバイだ。
今度は別の世界で別々の人生を送りたいね。
はじけた赤いバラが冷たい雨と共に流れ落ちる。
冬の夜は早い。
街頭が私と君の影を色濃く染めた。
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