第23話 ギンVSゾーム②



 「風の咆哮」



 ドーン。ものすごい怒号を放った。風の咆哮。技ランク3の魔法であり、威力もかなりのものだ。風の咆哮は時計に向けてまっすぐ放たれてそれを奴は止めることができず案外あっさりと破壊することができた。それは奴は、時計を守ろうとはしてはいなかった。



 あっさり壊せすぎてそのことが逆に怖くなってきた。奴を見ると、何ら感じていない。奴の目は、俺をみていない。奴には俺なんか見る価値がないということか。おそらく見ている相手は、エードだろう。だが、エード悪いけどな、俺が奴を殺すぜ。



 「風の咆哮!」



 もう一度同じ魔法を発動する。今度は、俺と奴の間に邪魔をするものは何一つない。俺の攻撃はまっすぐ奴に向かって放たれる。奴は、一歩も動かない。諦めたのか、と一瞬思ったがすぐに奴は態勢を変え反撃の魔法を放った。



 「魔界破壊砲」



 ! また禁術! やつが放った魔法はまたもや禁術であった。まさに禁術のオンパレード。資料でしか見たことがない魔法ばかり使ってくる。一体こいつは何者なんだ。そんなことを考えている場合じゃない。


 よいっと。


 かろうじて、魔界破壊砲という魔法をかわした。しかし、かわしたとき砲弾から結構な圧力が俺に加わっていた。



 「ちっ! 引力が発生している!?」



 軽いブラックホール状態が発生していた。これは、威力が高い。油断をするとこの砲弾に引き寄せられて全身ばらばらになってしまう。だからこそ、禁術に指定されたのだろうと納得した。



 「だが、まだだっ」



 態勢をどうにか保ちなおす。そして俺は、そのまま突進した。手には、武器も何も持っていない。奴にはこぶしで叩き潰す。いけえぇぇぇぇぇぇ。そのままこぶしは奴に当たった。ゴン。鈍い音がする。奴は、吹っ飛ぶ。俺はすかさずもう一発殴る。しかし、今度は一度目とは違い避けられる。そして、逆に殴られる。



 「グハッ」



 重いパンチであった。俺もだいぶ吹っ飛ぶ。そして、先ほどの俺のように奴はもう一発殴りに来る。それを俺が避ける。指して、殴る。そして、殴られる。何度も何度も繰り返される。まるで無限ループのようにお互いがお互い力の差がないかのように殴っては殴られ殴っては殴られる。だが、どれぐらい時間が経ったかのところで変化が起こった。



 「ファイアーボール」



 どこからか、攻撃が降ってきた。その魔法は火属性の魔法だった。一体誰が放ったんだ。


 しかし、すぐに攻撃してきた人物が分かった。


 エード。


 エード・クロニクルであった。


 俺は、安心してエードに駆け寄った。

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