第2話
僕は、レックリングハウゼン病という病気を持っている。
そんな僕にはトラウマがある。
小さいころ、レックリングハウゼン病からできているシミがどこまであるのかと聞かれ僕は何も答えないでいるとそれを確かめるためにズボンを下ろされた。
その人にとってはただの好奇心。
知った所でどうってことない。
だけど、僕からしてみれば恐怖心。
そのときに女の子から言われた「気持ち悪い」の言葉。
僕は、何かを失った。
僕からしてみれば恋愛なんてものは興味ない。
小さい頃から「バケモノ」と言われ嫌われてきた。
どうすれば、自分を嫌っている相手を好きになろうと思えるのだろうか?
僕は人を恨んでいる。
僕は人を憎んでいる。
この世の全ての人を殺しても足りないくらい僕の中にある何かがどす黒く光る。
でも、殺す勇気なんて無い。
人は僕に対して人として扱ってはくれない。
でも、罰はあたえられる。
人かそれ以上かの罰を……
小さいころ自分を表現する感情は泣くことしかできなかった。
だけどやがて僕は気づくことになる。
今ここで泣いても誰も気づかないことを……
今そこで泣いても誰も助けてくれないことを……
だけど死ぬ勇気なんて微塵もない。
1日が過ぎるたびに生きるという罪悪感。
1日が過ぎるたびに死が近づく恐怖感。
そんな毎日。
苦痛な日々。
そんな僕に近づいてくる人は、下心がある人ばかりだった。
時には、お金を奪われて……
時には、ストレス発散のために殴られて。
僕は、その人たちと距離を置くことにした。
少しずつ少しずつ距離をおいた。
そうやって人と距離をとっていくうちに僕は気づいた。
僕は、ひとりぼっちだと言うことに……
ひとりぼっちがつらいわけじゃない。
ひとりのほうが気が楽になれた。
マザー・テレサは言った。
【好きの反対は無関心】
大人に近づけば近づくほど僕の病気に関心をもつ人は減っていった。
でも、0じゃない。
たまに、子どもに石をぶつけられたり知らない不良にののしられる時があるけれど……
それは、仕方がないんだ。
だって、僕は【バケモノ】なのだから……
小さな頃は、よくそう言ってイジメられた。
助けてくれる大人なんてひとりもいなかった。
それどころかイジメに加担する教師やそれを先導する教師もいた。
ある教師言った。
「イジメられる方にも原因がある」
イジメられる原因は、見た目だけじゃないと思う。
もし、僕がケンカが強くて誰にも負けないくらい怖い人だったなら……
僕をイジメれる人はいなかっただろう。
でも、それが出来ない。
だから、イジメられる。
「不潔にしているからそんな病気になったんだ」
と持論をいう教師もいた。
子どもにとって教師の言葉は信頼の置けるもので親の次くらいに信じている。
だから、その瞬間から僕は【不潔者】と言われるようになった。
僕が触ったものには、ばい菌がつく。
だから、僕は何も触らない。
素手で殴ればばい菌が移るからとエアーガンの的にされることだってあった。
助けて欲しかった。
誰かに救われたかった。
でも、誰も助けてくれない。
何故なら僕は、ひとりだから……
本当は、僕を苦しめる人を殴ってしまいたかった。
だけど僕は殴れなかった。
一度殴ってしまえば心までバケモノになってしまう。
そんな気がしたから……
僕は、人を好きになれない。
僕が、誰かを好きになればその誰かが傷つく。
僕も女の子が可愛いと思うことくらいある。
だけど、そういう気持ちが少しでも沸くとその女の子は僕を怖がるようになる。
何もしなくても嫌われる。
相手を怖がらせるだけ。
だから、僕は決めたんだ。
人を好きにならないと……
僕の心には誰もいない。
支えなんて何もない。
孤独と感じることはあまりない。
孤独って誰かが周りにいることを経験してから誰かを失ったときに感じるものらしい。
全てのことに絶望しておけば……
全てのことに期待しなければ……
失敗しても傷が浅くてすむ。
だから、僕はそうすることにした。
全てのことに絶望し全てのことを諦める。
それが、叶おうとしたとき僕は、君と出逢ってしまった。
誰にでも優しい君。
その【誰】のなかに入ったことに僕は喜びを感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます