第85話林業再生
「社長。
間伐材をどうされるのですか」
「尖閣島とグリーンピーチ島に運ぼうかな」
「グリーンピーチ島の方は、他国から買い入れた方がいいのではありませんか」
「貿易問題かい」
「はい」
日本の産業構造が大幅に変革していたが、最終的にどのような形態が成功なのか、全く分からない。
自分なりに正しいと思う方向に持っていっているが、間違っている可能性もある。
だがその時は、赤字を出せば済む事だ。
桃と緑の御陰で、金銀財宝が湧き出しているから、何の心配もない。
その一環として、赤字覚悟で日本の林業の再生に動いている。
傘下に林業関連企業を設立し、多くの山林を買収した。
林道を整備し、防災の観点で間伐に人出を投入した。
間伐材は無駄にせず、赤字になろうと利用するようにした。
紙製の仮設住宅を備蓄するようにもしたのだ。
それに、何気ない日常の製品にも間伐材を利用した。
ベンチやテーブルはもちろん、合板や紙で作れる製品は、傘下企業で社用品として採用した。
傘下企業で使用する物は、全て国産品を採用した。
値段や性能は二の次で、傘下企業から優先採用した。
消耗品に関しても、ビニールなどの化学合成材料が忌避されるようになっている。
材木から加工した商品に取り換えられている。
経費がかさばろうと、そうしなければいけないように法律が改正された。
それに伴い、日本は懐古調に傾いた。
ビニール袋に成り代わり、藤製の買い物籠や風呂敷が大流行した。
お洒落な女子に、可愛い絵柄の藤籠が受けている。
風呂敷包に関しては、使い方を解説した動画が世界配信された事で、世界中で大流行となり、今や世界の主流になっている。
日本の伝統産業が息を吹き返している。
俺が率先して購入し、世界中に販売しているのもあるが、参加企業の経営者や社員が購入する。
俺に忖度しているの者もいるだろう。
だが、戦後の日本人が汗水たらして稼いだお金を、ブランドイメージを手に入れたいだけで、海外に流出させるわけにはいかない。
脱亜入欧など糞食らえだ。
西洋文明崇拝は大嫌いだ。
日本古来のモノだって素敵なモノが多い。
馬鹿がブランドに金を使うというのなら、日本製品のブランドイメージを高めてやる。
流行は俺達で作ってやえう。
その為の投資は惜しまない。
テレビや雑誌、ネットを使って流行を創り出した。
流行を作る事が出来ない場合は、流行に便乗した。
人間の虚栄心の利用して、国内製品や国内産を使う事がお洒落だと、思わせるように誘導した。
その為には、古典的な方法を使った。
大金を投じて、人気者をコマーシャルに投入したのだ。
理想は高い心算だが、段々俗物になっている気がする。
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