第3話復讐2(豪遊)

 鬼見達に復讐してから二ヶ月、ようやく殴られた傷も癒えた。

 後はあの時に逮捕されなかった連中への報復だ。

 鬼見達の犯罪に加担していなかっただけで、俺への虐めには参加していた。

 四十年以上前の出来事ではあるが、未だに俺の心を苛んでいる。

 桃と緑が創り出してくれた御金を、こんな事に使うのは忸怩たる思いではある。

 だがどれほどお金がかかっても、見返してやらなければ先に進めない。


「これより、佐藤興行株式会社様の創業二周年パーティーを開催させていただきます」

「乾杯」

「「「「「乾杯」」」」」


 務めている会社はもちろん、親会社や取引会社にまで圧力をかけ、無理矢理参加させた同級生達だ。

 昔虐めていた俺に差を見せつけられて、忸怩たる思いだろう。

 明日からは、リストラに脅えて暮らすがいい。

 今迄の人生で、一度も会社に損害を出していない人間などいない。

 備品の着服くらいはやっている。

 パワハラやセクハラに認定される事だってやっていただろう。

 どれほど金がかかろうとも、調べ上げて懲戒免職に持ち込んでやる。


「パパ。御顔が怖い」

「そうだよ。もっと優しい顔をしてよ」

「ごめんな。桃。緑」


 そうだな。

 あいつらを睨みつけるのは一度で十分だ。

 一流ホテルで創業二周年パーティーを開くのに必要だった一億円は、桃と緑が創り出してくれたものだ。

 この子達を疎かになど出来ない。

 いや、銭金の問題じゃない。

 暗く寂しかった俺の人生に彩りを与えてくれた天使だ。

 異世界から来た妖狐だって関係ない。

 かけがえのない俺の子供達だ。


「何か食べた物はあるかい」

「御肉。御肉がいい」

「そうか。ステーキを焼いてもらおう。緑は何が食べたいんだい」

「えぇぇぇとね、御魚がいい」

「御寿司がいいのかい。それとも天婦羅がいいのかい」

「御父さんが焼いてくれた魚がいい」

「うれしい事を言ってくれるね。でも今はないから、ホテルが焼いてくれた魚でいいかい」

「うん、それでいい」


 桃も緑も、嬉しそうに美味しそうに食べている。

 全部二人が稼いでくれた御陰だから、遠慮せずに愉しんで欲しい。

 桃は遠慮する性格じゃないけど、緑は大人しいから、此方が聞き出してあげないといけない。


「佐藤さん。鬼見の組の連中が復讐に来ている」

「守ってくれるのでしょうね」

「協力してくれた佐藤さんを見捨てたりはしませんよ」


 本当かどうかは分からないが、警視庁からSPとして派遣されている鈴木優也が請け負ってくれた。

 桃の為にも、女性SPの田中みなみが派遣されている。

 まあこいつらが役に立たなくても、自衛隊の猛者が護ってくれているから、何も心配いらないだろう。

 だがもう少し即応予備自衛官を採用した方が安全だろう。

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