第69話ジョージ国王陛下と大使達
「ジョージ国王陛下、それでは陛下の御威光が地に落ちるのではありませんか?」
「そんな事はない。余の血を引き継いだ王子の一人が、比類なき魔法を使うのだ」
「ですが陛下の御意向を無視しているのではないのですか?」
「余の意向ではない。余に対して、貴公らが母国の要請を伝えてきたら、イーゼム王国の動静をアレクサンダーに伝えただけだ」
「それは、今回の侵攻は陛下の命令だと申されるのですね」
「いいや違う。だがネッツェ王国の不当な国内干渉と、ボニオン公爵を操っての反乱には、心底怒りを感じていた」
「それは陛下の誤解なのではありませんか?」
「言葉に気を付けよ!」
「申し訳ありません。王太子殿下」
「貴国のその言動、ネッツェ王国の卑劣な謀略と侵攻に加担している証拠とみなす」
「いえ、決してそのような事はございません!」
「黙れ! もはや言い逃れは出来ん」
「誤解でございます。誤解でございます!」
「貴公らの無礼な言動は許し難い。イーゼム王とエステ王国に対して宣戦を布告する」
「御待ち下さい、王太子殿下。我が国は無関係でございます!」
「エステ王国はイーゼム王国と共同して、ネッツェ王国の侵攻を援護するような非礼で強圧的な要望を突き付けてきた」
「誤解でございます」
「そうです、誤解でございます」
「それ故、アリステラ王国王太子、エドワード・アルバート・クリスチャン・ジョージ・アリステラは、イーゼム王とエステ王国に対して再度宣戦を布告する」
「この者共を王国から放り出せ!」
「「「「「は!」」」」」
「どうか、どうか、御待ち下さい」
「話を、話を御聞き下さい」
「愚かな者達だ」
「左様でございますね、王太子殿下」
「御前が言えることではないぞ、アンドルー」
「申し訳ございません。王太子殿下」
「そう責めてやるな」
「責めてはいませんが、キッチリと反省して汚名を返上してもらわねばなりません」
「そう言う事だそうだぞ」
「十分反省しております」
「そう言わないでやっておくれ。あのような側近を付けた私が悪いのです」
「それは、余にも文句を言っておるのかな?」
「はい、陛下」
「だがエイダ、アンドルーに傳役を付ける頃には、ベンは現役の冒険者としてドラゴンダンジョンに挑んでいたのだから仕方がないだろう」
「分かってはいますが、アレクサンダーがあれほどの才能を示すと、少しは恨み言も言いたくなると言うモノです」
「その気持ちも分かるが、そう言ってやると、アンドルーも辛かろう」
「まあ、それもそうですね。ごめんね、アンドルー」
「いえ、全ては自分の身から出た錆です」
「まぁまぁ、今回の戦いはアンドルーにとっては好機です。万全の支援をしてやらねばなりません」
「万全という事は、ドラゴン騎士団を動かすのだな?」
「はい、陛下」
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