バレンタイン

1年もあっという間に過ぎるもので、気づいたら高1の3学期になっていた。あれから、橋本先生とは趣味の話を時々するようになり、楽しかった。

冬の時期になると「バレンタイン」というイベントがやって来る。男の子達はソワソワしてるはず。バレンタインの日は、女の子が好きな男性にチョコを渡す文化。最近では、義理チョコや友達チョコなどもある。私は、好きな人もいないし、今年も友チョコを渡すつもり。橋本先生にチョコを渡す女子は多いのだろう。


-バレンタイン当日-

朝から橋本先生にチョコを渡す女子が何人もいた。先生は少し戸惑っていたが、笑顔でチョコを受け取っていた。

「相変わらず、凄い人気💦」と私の友達が苦笑いで言った。

「そうだね。うちの担任は顔も性格も良いし」

そんな事を言いながら、私は友人にチョコを渡した。

昼休みになり、廊下を歩いていると橋本先生が沢山のチョコを両手に持ち、歩いてる姿を見かける。

「先生!いっぱいチョコ貰ったんですね」

私が声をかけると

「うん。こんなに食べれないし、嫁と子供にあげるか」と先生は言った。

嫁と子供、その言葉に少し胸がチクリとした。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る