第243話 李信対覇王妃  (32)

 と、なれば? 声をかける者?


 それも? 張飛と馬超の争いをとめた劉備玄徳のような役割の者がいれば、我等は良いとは思うのだが?


 でないと? これ以上古の英雄である二人を争い……。


 そう~? 力と技とのぶつかり合いを続けさせてしまえば? どちらかが倒れてしまう。


 どころか? 最悪共倒れになる可能性が大……。


 我等は? そんな英雄達の様子を見たくはない。


 だから誰か? 二人に? 『待て~! 待たれよ~!』と。ふたりの争いに割って入ってくれる英雄が現れないかと? 心街の思うのだが?


 そんな者等、二人の近くにはいないのだ。


 と、言いたいところなのだが?


 二人の争いを尻餅つきながら見ている戦姫……。


 そう~? ダークエルフ化した拍殿ならば? 二人の荒武者の争いに割って入ってとめることも可能かも知れないが?


 当の本人である拍殿自身は? 二人の英雄の争いに対して彼女は? 自身の心を躍らせ、魅入りながら観戦している状態だから役に立たないのだよ。


 特に今の項伯殿は? 生前のような、冷静沈着な武士ではない。


 そう~? この物語を読み見ている者達ならば知っての通りで荒武者……。


 と、言うよりも? 直ぐに憤怒! 怒りをあらわにするような、覇王妃さまと変わらぬ、荒々しい気性の持ち主……。


 そう~? まさに? 拍殿と覇王妃さまは? じゃじゃ馬姉妹と呼んでも過言ではないほど荒々しい姉妹でね。


 いつも? 二人の主である籍が? 二人のじゃじゃ馬ぶりに手を焼いている状態なのだよ。

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