第204話 覇王妃さまのお迎え?(16)

〈ドン〉だ!


〈ドォ~ン!〉と。


 大変に大きな強打! 打撃音がしたかと思えば?


 ヤンキーの兄ちゃん一人が?


「あぁ、あああっ!」と、声を大にして叫びながら空中を舞う。舞うのだ!


 マンガやアニメ、ライトノベルに登場する。出演する悪者達、悪役達のようにね。と、言っても? 少しばかり大袈裟に告げた。説明をしたのだが。上空へ浮いたヤンキーの兄ちゃんは、少しばかり空に浮くくらいだから。


 う~ん、それよりも、他の不良達……。


 そう、籍の回し蹴りを真面に食らった不良少年、兄ちゃんはね。そのまま吹き飛び壁に激突!


「うっ、ううう……」と、唸り声を漏らしながら、力無く、その場にへたり込んでいる最中なのだ。


 だから覇王妃さまの、優艶な胸やお尻に触れるのに忙しくて仕方がない輩達。ヤンキーの兄ちゃんや不良グループ達も我に返り。


「何だぁあああっ!」


「わりゃ、あああっ!」


「儂等!」


「俺らに!」


「わりゃ、あああっ! 喧嘩売っているのかぁあああっ!」と。


 振り向き様に凄んできたのだ。斜め四十五度の角度から上目遣いでね。


 でもさ? 覇王妃さまの主である籍の口から。


「はぁ、あああっ! わりゃ、あああっ! 儂を舐めとんのかぁあああっ! あぁ、あああっ!」と、一喝!


 そう、生前には、臣下の者達、あの、鯨布や項伯殿、赤帝劉邦をも震えあがったと逸話がある怒号! 怒声を吐けば、ではないね。


「あっ、田中……」


「田中、どうしたの?」


「何かあった?」


「…………」


「ん? も、もしかして……?」


「彼女? 彼女は……?」


「お姉さんは……?」


「田中の?」


「籍の知り合い?」


「……と、いうか? 彼女? 彼女さんなのか?」(笑)と。


 ヤンキーの兄ちゃん達や不良グループの兄ちゃん達は、急に直立不動。起立して、しながら。籍へと笑って誤魔化し始める。





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