第80話 謎の少女の正体は?(4)

 ……だけではない。


「だって籍、お前? 胡亥(こがい)さん。彼女の産まれ育った中華人民共和国で製作されたゲームにどっぷりハマって深夜遅くまでプレイをしているんだろう?」と。


 訪ねてくる。


 でも、籍は、先程も告げた通りで、自身の友人である健司に、あのゲーム……




 そう、中華人民共和国生まれの彼女からプレゼントされ、ゲームをプレイした日から。毎夜毎夜と、女性の怨霊が、『籍、籍~』と、淡くて甘い声色、吐息を漏らしながら囁き、手招きしながら冥府へと誘いにくる日々が続いているから睡眠不足で困っているのだと告げ、説明をする訳にはいかない。いけないのだ。


 だって籍が健司へと説明して。健司が、ついついと他人……。




 他の生徒へと告げ漏らして、そのことがクラス中へと広まり……だけではなくて。学園中へと広まり。彼女……。胡亥(こがい)がクラスや学園内で孤立、いじめにでも遭うようなことになれば、目も当てられない。


 ……どころでは済まされない。


 彼女はこの学園の新たな持ち主、チャイナマネーで買い取り、出資を始めている理事長の娘なのだよ。


 と、なれば?



 籍自身に好意的に、己の国で製作をされたSGLゲームをプレゼントしてくれた胡亥(こがい)嬢に対して申し訳ない。では、済まなくなる。


 そう、胡亥(こがい)の母である理事長に対して申し訳立たなくなる訳だからね。



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