第74話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(17)

 そう、まさにその様子は、不満を募らせながら会社へと向かおうとしている夫を呼び止め──。


 今晩自分の許へとちゃんと。愛人の許へと向かわずに家に帰宅をしてくれるのか? と、問いかけている妻の如き振る。様子で伯は、籍へと問いかけるのだよ。


 ついでに、「お姉ちゃんは、未だ籍との話しの方が終わっていない。終わっていないわよ。籍……」とも、小さな声色で問いかける。


 でも当の本人である籍の方はと言うと。


「…………」


 まあ、こんな感じで、拍のことを無視──。無視だよ。


 そして無視をしながらダイニングキッチンを籍は後にする。


 と、なれば?



 伯の顔色は更に変わり。声音の方も悲痛な声色で。


「ちょっと待ってよ。籍。籍~」と。


 呟きながら。愛する彼の背を追い。追い求める為に、自分自身もダイニングテーブルに設置してある椅子を後ろに下げて、慌てて立ち上がり。籍の背に追いつくために早足で、彼を追いかける。


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