第72話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(15)
まあ、できるだけ、籍自身の顔──。表に不快感を募らせた表情をださないように籍は、「ハハハ」と、頭に手を当て笑って誤魔化すのだよ。
「ご、ごめんよ。姉さん。次から気をつけるから」
と、言葉も添えてね。
う~ん、でもさ? 拍の気性難な性格は、と、言うか?
一度己についた嫉妬心の火の手は、着き──。モヤモヤと昇り始めたら、拍の荒々しく高ぶった気は収まりがつかないのだ。
だから伯は、いくら籍が、自分自身の主。大事な殿方であろうと不満を漏らすのだ。
「籍は何をヘラヘラ笑っているの? そんな様子だと、私が今籍へと言った不満など。どうせ? 右から入って左から直ぐに出ているだろうから。籍! あなたは、全く反省などしていないだろうし。する気もないのでしょうに」と。
まあ、こんな様子。荒々しい口調で、伯は籍へと不満を漏らすのだよ。
「いや、そんなことはないよ。姉さん。俺ちゃんと反省をしているし。以後気をつけるから本当にごめんね」と。
今度は己の目の前で、両手を併せて籍は、拍へと謝罪をおこなうのだ。自分自身の頭も何度も下げ諂うのだが。
「いいや、絶対に許さない。この間も。同じ高校の女性徒から手作りのお菓子を貰って隠し持っていたじゃないあなたは……」
とにかく拍は、常日頃から自分自身以外の女性に甘く優しい籍に対して、不満があり募らせていたようだから。
今回はいくら籍が拍自身に謝罪を何度しようが許さないみたいだね。いくら籍が拍に深々と頭を何度も下げ諂いをおこなおうが駄目みたいだ。
だって伯は、籍が頭を何度も下げてもそっぽを向いて、素知らぬ振りを始めだしたから。籍自身も諦めた方が良いと思うよ。と、思えば?
「ああ、じゃ、もういい。別に俺のことを許してもらわなくても結構──。別に構わしないよ。じゃ、母さん。俺学校へいくは。食べかけでごめんね」と。
籍は梁へと、食べかけの朝食を残すことに対して謝罪──。
その後は、自分自身が座っていた椅子を勢い良く後ろに、『ドン~!』と、音を立て下げ──立ち上がろうと試みる。
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