第67話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(10)
その後二人は直ぐに。
「いや~ん」
「いや、よぉ~」
「私よ~」
「お姉ちゃんを~」と、絶叫──。
更に?
「「おいていかないでよ~。あなた~」と。
二人のお姉さまこと? 梁と伯の二人は、慌てふためきながら、争う──。三人が入り乱れて──お互いの綺麗で艶やかに光輝く手入れの行き届いた長い髪を、己の持つしなやかな指を使用して引っ張り、頬摘まんだ。と、だけでは済まないか?
まあ、細くて華奢な腕を己の持つ八重歯? それとも犬歯? 奥歯かな? それを使用して。先程から三人は幼子のような争い。醜い喧嘩を主の前で披露しながら、『うぎゃ!』、『うぎゃ~!』、『ガウガウ』と、披露をしていたのだが。梁と伯の二人は中断……。慌てて己の主さまであらせられる籍の膝へと姉妹仲良く抱きつき、頬ずりしながら甘え、泣き声音を使用、駆使しながら。
「あなた~。あなた~。嫌よ、嫌よ。私を捨てないで~」
「あなた~。お願いだから~。お姉ちゃんを捨てないでよ~。お願い~。お願いします~」と。
最後は姉妹仲良く、共通の主さまへと、声を合わせて──。
「「あなた~。もう二度と~。姉妹喧嘩はしませんから~。お許しください~。あなた~」」と。
泣き叫びながら嘆願──。籍へと許しを乞うてくるから。姉妹二人の主さまは、(致し方がない)と、言うことになり。梁と伯の姉妹二人を許すのだ。
「今回だけだよ。俺が許すのは、母さんと姉さんは……」と。
二人の主である籍が仲介に入ったことで、田中家の女の争いは中断……。
そう、中断に終わったのだよ。一人の女性……。
覇王項羽こと覇王妃さまをおいて和解はしたのだが。
この田中家には、主さまのことを心から慕い。あの世? 冥府? 黄泉比良坂? から籍のこと……。
そう、籍は儂の半身だと告げながら探索をしてきた覇王妃さまがいるので。田中家の女達の争いに終止符が打たれた訳ではい。
実際今も、覇王妃さま自身を無視して、己の半身、伴侶に甘える梁と伯姉妹の様子を凝視して覇王妃は、真っ赤な顔──。
まるで赤鬼のような形相──。彼女の頭の頂上が火山噴火若しくは? 沸騰したヤカンが『ピィ~』と、大きな音を出しているような状態で憤怒──。己の気を荒々しく高ぶらせながら、嫉嫉妬心をあらわにしながら。
「貴様ら~! 儂の~。儂の物~。半身である籍に~。何をしているのだ~」
と。怒号を放つのだが。直ぐに田中家姉妹から仲良く合体攻撃──。
『ラ○ダー、ダブル~、キック~』を食らい。
パソコンの中──黄泉の世界へと追い返される失態をしてしまう。中国四千年最強の武士である覇王妃さまなのに。
う~ん、それでも? 覇王妃さまは?
先程梁が籍へと訪ねた通りだ。毎晩のようにパソコン画面の中から、這いずり出て──。
「籍~」、「おいで~、おいで~」
「……ん? せ、籍がいない? ど、何処に行った?」
「ううう、歯痒い~、歯痒い~。あの淫乱痴女目~。儂の籍を何処かに隠しおったな~?」
「く、くそ、歯痒い~。歯痒い……」
でッ、最後に覇王妃さまは?
「うらめしや~、うらめしや~」と。
まさにお化けの如く振る舞いで、パソコンのモニター画面の中に戻り生活を、夜な夜な繰り返す通い妻生活を送っているみたいなのだ。
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