第60話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(3)

 また、己の拍(物)が嬉しそうに、妻的振る舞いをしてくれることに対して籍(主)さまは悪い顔はしない。


 と、言うか?



 拍の主さまは、未だ幼い所が残る自分に対して、少しばかり照れ恥ずかしそうな素振りを拍に見せながら。ありがとう、だけ一言漏らすのだが。


 伯は、未だ幼さも少しばかり残る籍の様子を凝視すれば、彼女は自身の心の奥底から彼……。籍のことが可愛く愛おしくて仕方がなくなる。


 もう、それこそ? この場でハグと抱擁──。愛する彼をそのまま、この場で押し倒し、愛してしまいそうになる衝動に、朝も早くから、駆られそうになるのだが。


 グッと、心の中で堪え、耐え忍ぶ……と、言うか?



 耐え忍んで見せるのだ。お邪魔無視である姉の梁もこの場にいるのだから尚更耐え忍んでみせ──。


「うぅん、うぅん」と。


 己の頭を軽く振りながら頷き、主さまへと「どういたしまして」と、女神の笑みを浮かべ、投げ返すだけにとめるのだ。


 う~ん、でもね? 梁が仲の良い二人の近くで作業をしていても己の唇を閉じて、「うぅ~ん」と、甘い声色だけは漏らしながら突き出して、主さまへと御褒美を催促するのだ。



 でも? 先程も説明をした通りで、仲の良い二人が向き合いながらモーニング。朝食をとっている部屋には、籍の母であり、拍の姉である梁がいるから。流石に籍も自分の拍(物)の御褒美の要求を承認して、授ける訳にはいかいので。自身の首を振りながら無理だとジェスチャーをして見せる。



 と、言うことはしない。


 籍自身もタコのように唇を閉じて突き出し始め──。そのまま拍の艶やかな唇へと、己の唇を合わせ「チュ」と、聞こえない音……。




 そう、仲の良い二人にしか聞こえない秘密の音を出しながら籍自身の大事な拍(物)を労うのだが。



 先程も説明をした通りで、このダイニングキッチンの部屋には、新婚ホヤホヤ夫婦のように仲の良い若い二人だけが。おままごとをしている訳では無くて。ちゃんと姑である梁もいるのだから。仲の良い二人の淡くて甘いキスの様子を凝視すれば。


『あなたたち二人は、一体何をしているの~? いつも~、いや、毎日私が、叔母と甥である二人が、禁断の果実──。恋に溺れてはいけません~と。注意をしているでしょうに~。今直ぐ二人~。籍と拍は離れなさい~』と。


 仲の良い二人に対して憤怒しながら怒声を放ち、浴びせること間違いないのだから。おままごとをしている、若いお二人……。籍と拍は、キスをする行為をやめて離れる方が良い。


 特に拍の方は、大学に通うのに、実家からよりも、実姉である梁の家から通学する方が近いからと理由で居候をしている身分だから尚更、籍とのキスをする行為をやめて離れる方がいい。


 でないと? 本当に取り返しがつかないことがまた起きてしまう。

 数日前の物の怪の来襲──覇王項羽が籍を襲ってきた時の夜、世訳近くまで、二人が言い争い。



 ……だけではなかったね?



 この家にいる男を主と敬い奉る女性達三人……。




 そう、覇王項羽も含めて、梁と伯の身内同士の争いがまた延々と続くことになるのではないか?と、危惧してしまうのだが。


 仲慎ましい若い二人は、己の欲望に駆られて、中々ままごと遊びをやめようとしないから。


『さてさて、困ったな~』と思う。



 ◇◇◇◇◇

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