第52話 御対面?(14)
「うぐ、ぐぐ、くそ~。姉さんは、おばさんの癖に……」と。
まあ、梁に親の権限を発動された伯は、当たり前の如く、自身の奥歯を力強く噛みしめながら怪訝しい表情……。不快感をあらわにしながら不満を漏らす、だけではなくて?
自身の姉である梁に対して、少しばかりたじろぐのだよ。自身の大事な宝物である籍は、親の庇護がいる未成年者だからね。
と、なれば?
さてさて拍は、どうしたものかと思案を始めだすのだ。
そんな様子の妹を梁は、舐めるように凝視──。
自身の鼻で「クス」と、妖艶に微笑むと。
「どう~? 拍~? 籍の母である私に対して、何か言うこと……。そう? 貴女は何か説明、言い訳などできるのかしら~?」
梁は妹の拍に対して上から目線で問いかける。
「…………」
だから拍は沈黙……。黙り込んでしまうのだよ。いくら彼女自身が怪訝しい表情をしていてもね。
籍は梁自身の宝物であり。彼の大事な母親であることには間違いない。
それに籍自身も常日頃から、母と子二人だけの親子だから。自身の母である梁と共に暮らし世話をするのだと豪語していたのを知っているので、『籍は将来、姉さんとは暮らさない。私と共に暮らしていくのだと、常日頃から優しく、私に囁いてくれていた! だから、この家から出て行くのは私ではない! 他界をした兄さんを裏切った、姉さんが出て行きなさいよ!』と、罵声を吐く訳にもいかないのだ。
だって拍が、そんなことを口にすれば……と、いうか?
拍が梁へと荒々しく言ってしまえば、自身の大事な宝物から呆れ返られて、捨てられること間違いない。
と、なれば?
拍の逃げ道は只一つとなるのだ。
そう、自身の後ろで驚愕──。呆然としながら、我が家の女性二人の激しい言い争い……。
それも? 自分のことで言い争いをおこなっている二人のことを凝視している籍へと泣きつくしかないのだ。
と、なれば?
拍自身は全を急ぎ始めるのだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます