第45話 御対面?(7)

 だから最初に『ドーン!』と鳴り響いた身体の鈍い音は、麗しい拍の裸体から鳴った訳ではなくて籍の身体が、自身の部屋の壁に打たれ──。背が打撲した音──。



 まあ、そういう訳だから籍の口から……だけではなく。


 彼は悲痛な表情と声色で、『いた、いたたた……』と声を漏らしたようだ。


 と、同時に?



「う、嘘?」と。


 物の怪さまの驚嘆が漏れてくる。


 それも彼女の様子を凝視すればわかる通りで。かなり困惑。動揺まで始めだしたのだ。


 だって、自身の目の前──。



 それも、何度も熱い抱擁と接吻ができたほどの間近にいたはずの籍が、急移動して、物の怪さまが大嫌いな、彼女いわく『淫乱痴女』の拍を受け身──。壁となっているから驚愕をしているのだ。


「(可笑しい? 儂の籍は? 儂が金縛りをかけ身動きをできないようにしていた筈だ……。なのに、何故、儂の籍が? あの淫乱痴女の所まで詰め寄り。あの馬鹿女の壁へとなる事が可能だったのだ……。儂の籍は、身動きすらできないはずなのに……)」


 まあ、こんなことを自身の脳裏で思いながら困惑をしているのだ。



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