第32話 女同士の対面……(21)

 また、そんな自身……。




 そう、自身の裸体を魅せれば、この家唯一のオスが自身の虜……傀儡されたペットとなると信じ疑わないからこそ。この姉妹は、こんな艶やかで魅惑的──官能的な容姿でいるのだと思われる。


『見て、見て、籍~? どう~? 美しいでしょう~?』とでも言いたい様子……。



 愛する彼に魅せ、『早くこちらにおいで~。愛してあげるか~』とでも言い多様子で各自の部屋で待っているのかもしれないね?


 禁断の恋に燃えるお嬢さま達二人は……。




 と、少しばかり妄想話しのために、物語から飛んだので、話しを元に戻すことにする。



 まあ、とにかく、この姉妹は、お互いの宝物を巡って対峙──!



 どちらも引く気がない様子で、数分間の時を、睨み合いを続けているのだ。



 二階の自分達の宝物が妖怪、物の怪、お化けの餌食……食われそうになっていることも知らずにね。


『ギリ、ギリ』


『ギシ、ギシ』


『グググ』と。


 自身の歯の噛み合わせの音や、奥歯を力強く噛みしめながら音を出し──。



 お互い相手に対して嫉妬、殺意に満ちた瞳で睨み合い……。




 お互いの出方を窺う愚かな二人の姉妹だったのだ。



 ◇◇◇◇◇

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