項羽と籍
かず斉入道
第1章 女達の過去の因縁……
第2話 プロローグ
「おい! 婆~?」
「はぁ~、誰が婆ですか~?」
「お前だ、お前……。お前以外誰がいる」のだと。
漆黒の闇に覆われた霧が何故か立ち、漂う、香の香りが漂う不気味な部屋……。
でも何故か祭壇が置かれている不気味な部屋……。その祭壇の前で。これまた何故か中華の皇帝達が着用する
まあ良く年齢が経っているとしても二十歳ぐらい迄の少女と言うよりも?
悪態をついた少女は、物の怪や精霊と言った類なのだろうか?
だって祭壇に向けて祈り……祈祷をしていた中華の皇帝様のような衣装を身に纏うお姉様へと悪態をついた彼女は某アニメ、マンガのヒロイン様のように宙に浮いている状態で横たわり、寛ぎながら、祭壇へと祈りを捧げる淑女へと悪態をついた。
「煩いですね、覇王は〜」
物の怪の少女に暴言を吐かれたお姉様は、当たり前のように、直ぐに怪訝な表情で【覇王】と言う名前を出して不満を漏らし。
「覇王~? 朕に対して余り悪態をつくようだと、貴女の夢が儚い物として終焉をしても知りませんからね~」と更に不満を告げた。
だから優艶な甲冑を身に纏う物の怪の少女は飼い主だと思われる淑女の逆鱗に触れたと気がつき、自分がまた漆黒の闇に覆われた黄泉の世界へと帰還される事を恐れ大人しくなる筈だった。
でも物の怪の少女の名は【覇王】と申すようだから、漆黒色の皇帝衣装を優雅に見に纏う淑女の御姉様……。【政】と言う変わった名前の女性に対して無礼極まりない態度をとる。
「うるせえ~、クソ婆~。俺の夢が叶わなければ。貴様の計画しているお遊びの方も夢も叶わず、儚い物へと変わるぞ。それでも良いのか~、政~?」とね。
だから政様は、自身に平然と悪態をついてくる【覇王】に対して怪訝な表情をしながら。
「うっ、くっ、くそ~。歯痒いですね、覇王は……」と。
自身の奥歯を噛み締めつつ不満を漏らし。
(やはり覇王項羽の怨念を飼いならそうとすることは、趙高の言う通り無理なようじゃの……)と脳裏で呟きもするから。
御姉様の麗しい顔は更に強張って顔へと変化していく。
それがニヤニヤと嬉しそうに微笑む覇王の紅玉の瞳……。
そうまさにこの世の者ではない悪霊らしい血のような色をした瞳に映るから。
「政~、そんなに怒るな~。怒るな~。せっかく手に入れた転生者の麗しい顔が歪んで台無しになっておるぞ~。わっ、ははは~」
覇王は嬉しそうに政様を揶揄するように諫め様子を窺う。
「フン!」
でもこの通りで政様は、覇王の子供染みた挑発に乗るような事もないから、鼻息立て無視……。
また彼女は正面を向き、祭壇に向かい祈祷を始めだすのだ。
だから争いを好む覇王の口から「チッ! 面白くねぇ、なぁ~」と不満が今日も漏れる。
(ここまで)
いくら政様に、キョンシーとして呼び起こされても、この世界……。特に日本が余りにも平和過ぎて刺激がないから覇王項羽は毎日が退屈で仕方がない。
そして「東の島国ではなく、大陸に帰りたいな~」とも、覇王項羽は寂しく呟いた。
「覇王~?」
「何だ、政?」
「貴女の欲しい物は朕が経営する学園にありましたよ~」
(ここまで)
物の怪の少女……。それも
「覇王~? 朕に対して余り悪態をつくと貴女の夢が儚い物に終焉してもしりませんよ~」と。
自分に
「籍~?」
俺はお昼の大休憩の時間が残り少ない頃……
だから俺は後ろを振り返りながら。「何だ~?」と、友人達との会話を折られた俺は気だるそうに声を返した。
「あのね、籍~?」
俺が後ろを振り返ると背後には我が【秦朝学園】の三姫と呼ばれるマドンナの一人──。クラスメイトの異国の美少女【胡亥】の姿があるから。
「胡亥さん~」
「籍に何用ですか~?」
「籍への要件。僕で良ければ籍に代わりに聞き、胡亥さんのお力になりますよ~」と。
(ここまで)
俺と会話……。雑談をしていたメンバー達……。上田と大島、篠崎の三人が胡亥へとワンワン、ハァハァ、チンチンと忠犬のように愛想を振り撒き始めた。
こいつ等は俺とは違い美人に弱いから、我が校の三姫の一人胡亥の御機嫌窺いを始めだした。
だから俺は三人の緩んだ顔を見て致し方がない奴だと思う。
……ん、俺か?
「籍~」
「な、なに、伯姉?」
「お風呂出たから入りなさい~」
「ん? ああ、わかったよ。伯姉。今から入るね」と。
今年の春、桜の花が咲き舞う季節に、高校一年生になったばかりの俺、項籍はね、下の部屋から自身を呼ぶ伯姉の呼びかけに対して今直ぐお風呂に入るとこの日の晩に告げたのだ。
只今自身がプレイをしていた戦略シュミレーションゲーム、通称SGLと呼ばれるパソコン専用のゲームをプレイする行為──。自身の掌でマウスを握り締める行為を辞め。
「よーし! ゲームをするのはここまでにしておくか」と。
俺は独り言を呟きながらマウスから手を離し、自身の机の椅子から立ち上がろうとその日は試みた。
だから立ち上がろうとする俺なのだが、いざ完全に立ち上がると。
俺はある事を思い出して「あっ!」と驚嘆を漏らし、もう一度慌てて自身の机の席についた。
だって俺、今の今迄プレイをしていたこのゲーム……。中華歴代最強の武人と名高い一騎当千万夫不当の覇王項羽と、やはり中華歴代最強の家臣団を従えた漢の高祖赤帝劉邦をモチーフにしたパソコンゲームをクラスメイトに。
「籍はパソコンゲームをすることがあるの?」と訊ねられ。
「うん、たまにする事はあるけれど、どうした?」
俺は頷きながら言葉を返した。
「ふぅ~ん、そうなんだ」
「うん」
「じゃ、籍、このゲームをプレイしてみない? わらわの産まれ育った国でできた戦国シュミレーションゲームなのだけれど」と。
何のラベル
「なっ、何だぁあああ~! 何だぁあああ~! 何事だぁあああ~? これはぁあああ~?」と。
う~ん、何だろう、じゃないか?
まあ、何処からともなく、声を大した叫び──! 絶叫と言う奴が聞こえてきたのだ。
それも、この蒸し暑い真夏の夜に聞こえきたのだ。
と、なれば?
一体何処だ!
誰が叫んだのだ!
この絶叫は……。
そして、何処から聞こえてきたのだろうか?
この絶叫と言う奴は。
と、なる訳でね。
絶叫の出どころ!
場所!
声の主の家は何処だ!
と、思いながら。
声の主は多分少年だと思われる。
それも高校生ぐらいの、思春期真っ盛りな少年だと思われるのだ。
だから声の主!
驚愕と絶叫が放たれた少年の家──。
場所は何処なのかを今から探索してみる事にする。
◇◇◇◇◇
題 真夏の夜の人魂・鬼火
……ん? あれかな? と、思う物が発見できたのだ。
そう、先程から月の明かりも無い漆黒の暗み、深夜の時間帯に。
夜空を、移動を重ねながら。
上空から辺り一面を見下ろして確認する事数時間……。
ある屋敷の二階の窓から小さな明かりが、浮遊をしながら出たり入ったりを繰り返しているのが確認できたのだ。
だから近づいてみることにする。
と、思えば?
直ぐにその屋敷の上空へと到着したから。
室内と外を浮遊している青白い炎の玉、灯りが、一体何かを確認してみた。
すると、『あっ!』と、驚き、驚嘆を漏らしてしまうような物だったのだ。
だから先程少年が、絶叫をあげた訳、理由と言う奴が、直ぐに理解が出来たのだ。
だって少年が凝視して驚愕! 絶叫を吐く、放ったのは。
リンが青白く燃えた物ではないかと思われるのだよ。
そう、夏の夜の風物詩の一つであり。
夏の夜を賑わいさせ、聞いた、話した者達の顔色を青ざめながら、背筋を凍りつかせ、夏の夜の蒸し暑さを吹き飛ばすことが可能な物──。
そう、怪談話によく出てくる人魂若しくは、鬼火と言う奴のようなのだ。
それが! その物が! 人魂! 鬼火が!
先程も説明をした通りで、驚愕、絶叫を上げた少年の部屋の窓を出たり、入ったりしている。
また人魂が出たり、入ったりしていると言うことは?
彼の部屋の中には、多分あれが! あれがいるようだね。
と、いうよりも?
先程少年の、部屋の中をそれとなく、チラリと覗き込んでみたのだが。
その時に何かいたよ!
いたのだよ!
己の背筋が凍りつくような、この世の者とは思えない者の姿を確認したのだ。
だから両手を合わせ、「南無……」と、唱えながら。
少年が無事でいますようにと祈る事にしたのだ。
◇◇◇
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