項羽と籍

かず斉入道

第1章 女達の過去の因縁……

第1話 前書きは俺の絶叫から始める?

「籍~」

「な、なに、伯姉?」

「お風呂出たから入りなさい~」

「ん? ああ、わかったよ。伯姉。今から入るね」と。


今年の春、桜の花が咲き舞う季節に、高校一年生になったばかりの俺、はね、下の部屋から自身を呼ぶ伯姉の呼びかけに対して今直ぐお風呂に入るとこの日の晩に告げたのだ。


只今自身がプレイをしていた戦略シュミレーションゲーム、通称SGLと呼ばれるパソコン専用のゲームをプレイする行為──。自身の掌でマウスを握り締める行為を辞め。


「よーし! ゲームをするのはここまでにしておくか」と。


俺は独り言を呟きながらマウスから手を離し、自身の机の椅子から立ち上がろうとその日は試みた。


だから立ち上がろうとする俺なのだが、いざ完全に立ち上がると。


俺はある事を思い出して「あっ!」と驚嘆を漏らし、もう一度慌てて自身の机の席についた。


だって俺、今の今迄プレイをしていたこのゲーム……。中華歴代最強の武人と名高い一騎当千万夫不当の覇王項羽と、やはり中華歴代最強の家臣団を従えた漢の高祖赤帝劉邦をモチーフにしたパソコンゲームをクラスメイトに。


「籍はパソコンゲームをすることがあるの?」と訊ねられ。


「うん、たまにする事はあるけれど、どうした?」


俺は頷きながら言葉を返した。


「ふぅ~ん、そうなんだ」

「うん」

「じゃ、籍、このゲームをプレイしてみない? わらわの産まれ育った国でできた戦国シュミレーションゲームなのだけれど」と。


何のラベル




「なっ、何だぁあああ~! 何だぁあああ~! 何事だぁあああ~? これはぁあああ~?」と。


 う~ん、何だろう、じゃないか?


 まあ、何処からともなく、声を大した叫び──! 絶叫と言う奴が聞こえてきたのだ。


 それも、この蒸し暑い真夏の夜に聞こえきたのだ。


 と、なれば?


 一体何処だ!


 誰が叫んだのだ!


 この絶叫は……。



 そして、何処から聞こえてきたのだろうか?


 この絶叫と言う奴は。


 と、なる訳でね。


 絶叫の出どころ!


 場所!


 声の主の家は何処だ!


 と、思いながら。


 声の主は多分少年だと思われる。


 それも高校生ぐらいの、思春期真っ盛りな少年だと思われるのだ。


 だから声の主!


 驚愕と絶叫が放たれた少年の家──。


 場所は何処なのかを今から探索してみる事にする。



 ◇◇◇◇◇

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る