第219話 僕は大変に身体に良い。薬膳料理にも使用されるくこの実(15)

 隣の爺さん、竹輪のおじさんは、更に「お前~。もう一袋、サービスで、ええやろ~?」と、声を大にして叫び、問うのだ。家の怖い顔のおじさんへとね。


 それも、僕【クコベリー】が説明をした通りで、何度も何度も。「えぇやろうがぁ~。お前~? 六個で千円でも~?」と、繰り返し叫びながら続けるのだ。


 この道の駅の駐車場の上から下、隅から隅、端から端まで響きわたる程の声音で叫び続けるから。僕【クコベリー】が包装されて並べられている。家の怖い顔のおじさんの売り場、販売ブースと隣の爺さんこと、【竹輪のおじさん】の販売ブース、売り場の周りを、川の流れのように行き交う人達、お客さま達は、関に。水の関に制御、止められたように。各自各々が足を止めて声。透き通るような声音がする。呼び込みがする方、方向へと。二つの目、瞳で見詰め、『何だろう?』と、観察を始めだすのだよ。


 またこうなれば、隣のおじさん。竹輪のおじさんは本当に上手。上手で上手いのだよ。


 この商業歴、販売業歴三十年以上になる。家の古参の怖い顔のおじさんが、『うぅ~ん』と、舌を唸らすほどにね。


 だから少しばかり説明をするよ。家の怖い顔のおじさん、商い。販売歴三十五年になるおじさんが今迄、売るのが、販売するのが、押し売りをするのが上手いと思った二人……。西日本代表する販売、売り子の爺さんだからね。『竹輪のおじさん』は、と言うことで次にいく。




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