第210話 僕は大変に身体に良い。薬膳料理にも使用されるくこの実(6)
全く仕事をしていない。と、言うことはないのだけれど。家の怖い顔のおじさんは、相変わらずすみれさんに夢中で、こんな感じなのだ。
「おじさん、これ食べてえぇか?」
「お兄さん、これも試食いい?」
「おじさん、このママカリ。ママ借りてきて。借りてきたママの指先で取って、摘まんで、試食を勝手に炙って食べてもいいかぁ?」と、お客様にダジャレを笑いなながら告げ、問われても。全く気にもしないで。
「ああ、ええぇ、よ。ええぇ、と。お客さん達……。自分の好きなのを摘まんで食べん、さい」と。
家の怖い顔のおじさんは告げるのみでね。家の怖い顔のおじさんへと問いかけてくるお客さま達に対して無視。相手にしていないのとかわらない様子……。本当に仕方がない様子の、家の怖い顔のおじさんなのだ。
……う~ん、でも? 家の怖い顔のおじさんから優しく。お節介をされたすみれさんはと言うと。自身の掌に僕【クコベリー】や、その他の商品達の試食を沢山掌に載せられているから。
「おじさん、ちょっと。ちょっと。待ってぇ。これは、これはちょっと多いい。多いいよぉ。おじさん……。私の掌から試食が落ちる。落ちるよ。これ以上、私の掌に試食を乗せられたら……」と。
すみれさんは、苦笑いしながら家の怖い顔のおじさんへと告げる。説明をするのだ。と。同時ね。
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