第117話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(19)
だから家のおじさんは不快感と嫌悪感を募らせる。と、なれば?
家のおじさんを含め、私【クランベリー】や、その他の駄菓子・豆菓子・珍味・ドライフルー達の販売ブースの隣で販売、だけではなく。嘆き、嘆くを、繰り返し呟きながら昔の昔話──。
『儂等の若い頃は……』
『今の若い者は……』と。
不満や愚痴のように呟く昭和一桁産まれの御老体に対して家のおじさん怪訝な表情で。
『あのなぁ~。おじさん』と、重く、荒々しく、不快感を募らせた顔色と声色で言葉をかける。
と、いうことはしない。しないよ。
家のおじさんも五十歳を過ぎた。第二の人生と呼ばれる年齢の壮年(ひと)だから。子供、若者のような振る舞いはしない。おこなわないから。
まあ、取り敢えず家のおじさんは、顔の表情を緩め、少しばかり笑みを浮かべて、隣の御老体の昭和の時代の昔話しに自身の耳を傾け、歩み寄る行動へと移すのだ。
「おじさん?」とね。
「ん? 何だ?」
家のおじさんの問いかけに対して御老体は直ぐに言葉を返してくる。
だから家のおじさんは、
「おじさんが今儂に話してくれた人攫い話しって本当に、本当の話なのか?」
と、問いかけた。
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