第110話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(12)

「お前?」


「……ん? 何? おじさん?」


「儂等が若い頃は、第二次世界大戦の最中だったからなぁ。こんなに……。今のような平和、人権が守られているような素晴らしい世界ではなかった。そう、なかったのだぞ、お前……」


「えっ? ああ、そうだね。そうだったね……。儂の若い頃、幼い頃……。儂等戦争を知らない世代とは違って、おじさんの若い頃。と言うか? 子供の頃は、第二次世界大戦の最中──。真最中の、世が状況不安定な状態の中、おじさんは大人になったのだよね……」


「ああ~、そうじゃ、大変な時代、世の中だったぞ。儂も戦争に行ったしなぁ……」


「そうか、それは大変だったね。おじさん。本当に御苦労様でした……」と。


 まあ、こんな感じだよ。二人の会話……。




 そう、先程彼、【芋かりんとう】が『あっ?』と嘆息を漏らした後から始まった。家のおじさんと昭和一桁産まれの御老体との会話なのだが。


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