第106話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(8)
さっさと行くよ。話しをさ。
◇◇◇◇◇
まあ、とにかく、昭和一桁産まれの御老体が嘆く原因はね?
今の若い人達……。
家のおじさんも含めてらしいのだが。家のおじさんは、皆も知ってというか? この通りの、人生第二の齢に差しかかり、通り過ぎても天涯孤独の身の上だからね。余り関係はない事だけれど。
今や少なくなった前大戦……。第二次世界大戦最中に産まれ、育って、青春をした最中の者達とは違い。
世に言う戦争を知らない世代以降の者達は危機管理が薄い。無いと嘆き、呟き、愚痴を漏らしているみたいなのだ。
昭和一桁産まれの御老体は。
だから彼の口からは、
「今のこの令和の時代は、平和……。そして、大変に治安がいい。いいからな……」
と。
言葉が漏れてくるのだ
「ああ、おじさん。そうだね……」
家のおじさんは、昭和一桁産まれの御老体が漏らした呟きを聞き、苦笑いしながら言葉を返す。返したら。昭和一桁産まれの御老体は、「でもな?」と、直ぐに言葉を返してきた、だけでは終わらず。渋い顔──。己の眉間に皴を寄せながら。
「儂が幼い頃はなぁ、親に自分の許から離れるな、だけではなく。親が随時子供の手を離さぬようにしっかりと握っていたか、常に子供の様子を監視、見ていたものだよ」と。
やはり、昭和一桁産まれの御老体は、同じような言葉、台詞を、家のおじさんへと嘆くように呟いてきた。
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