第43話 おじさんとJK(30)

「絵里~。美味しい~?」


 僕【芋かりんとう】が、販売台の後ろに立つ、怖顔のおじさん目の先で、可愛い絵里ちゃんに、『モグモグ、ムシャムシャ』と、華奢な身体を貪られていると。絵里ちゃんのお母さんから絵里ちゃんへの問いかけが。


 だから絵里ちゃんは、お母さんの声が聞こえてくる方──。後ろを振り向き、天使の笑みを浮かべながら。


「ママ~。美味しいよ~。【芋かりんとう】~」


 と、再度絶賛──。


 それを聞いた絵里ちゃんのお母さんは、自身の娘の嬉しそうな顔を凝視して、自身の顔をほころばせながら。


「良かったね、絵里……」と、言葉を漏らすのだ。


 それも先程迄、僕達の怖顔のおじさんの売り場──。販売ブースから少しばかり距離がある場所から、娘の絵里ちゃんの様子を窺っていたのに。


 今はこちらへと近寄り、絵里ちゃんの真後ろに立っている状態なのだ。


 だから絵里ちゃんのお母さんの台詞が終わると直ぐに、僕達の怖顔のおじさんは、僕【芋かりんとう】をまた食品トングで掴んで、持ちあげると──。


「はい、お姉さんもどうぞ~」と。


 優しく声をかけながら、絵里ちゃんのお母さんへも僕【芋かりんとう】を手渡すのだ。



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