第6話 愚者の最期
この世界において
普通の犬や猫がそのまま服を着て二足歩行になったかの様な『純血』と、腕や脚などといった部分を除き、限りなく
単純な力や、群れの統率力なら『純血』、知能や魔術適正の高さなら『混血』といった差異はあれど、この二種に共通している事もある。
一度対立したのなら脆弱な
……そんな
突然の事態に呆然とするカナタの目には、その全員が雌の『混血』である様に見受けられた。
鰭の様な耳、透き通る様な空色の長髪を後ろに束ね、
何処か高貴さを感じさせる栗色の髪と翼、鳥獣特有のすらっとした脚とその先に有した見るからに鋭利な爪を隠そうともせず、こちらを睨む
三体の中では最も
その外見こそ極端に薄着である事以上の統一性は無いが、
この場にいる誰もが口を
……この時彼女は、言葉が通じるかどうかなど微塵も考えてはいなかった。
「
「……」
カナタの言葉に
「な、何だと!?」「
その一方で臣下たちは、それぞれがぎゃあぎゃあと騒ぎ立てながらも、降って湧いた
――気づいてなかったの? と、カナタは心底呆れ返り、臣下たちに侮蔑の視線を送る。
どう見てもそうだろう、さっきまで少女が大事に抱えていた
カナタの声に反応を見せてから少しの間思案する様に唸っていた
「……なぁ、どうでもいいけどよ。 ここどこだ? 日本じゃねえよな?」
ガリガリと頭を掻きながらゆっくりと立ち上がり、きょろきょろと王の間を見回しながらそう言った。
――そう、
言葉が、分かる……ニホン、というのは話の流れからして地名だろうか、とカナタは推察し、
「……ここは、ルニア王国王都セニルニア。 ガナシア大陸で最も大きな――」
そこまで言った彼女に、
「ぇ」
死――その一言が頭を
「……んな事が聞きてぇんじゃねえよ。いいから早くあたしらを……いや、ミコを母親の元へ帰せ」
強い怒りのこもった低い声で、少女の名を挙げつつ目の前のカナタを脅そうとする。
あの子はミコって言うのね……と、カナタはたった今死にかけた割には冷静に脳を回していたものの、
「ぁ、あの、それ、は」
身体の方は恐怖に忠実であったようで、全身が震え、口も上手く回らない。
――その時。
「――素晴らしい」
先程まで魂が抜けた様に聖女と
……勿論、勇者では無く
「……其方らが殺めた兵たちは、命を捨てて余を護ることを余自らが許した精鋭であった」
まるで自分を中心に世界が回っている、とでも言いたげな国王の言動にカナタは信じられないといった視線を向けるが、王の口は止まらない。
「其方らが余の
「「「……は?」」」
リドルスがその言葉を発した瞬間、カナタに怒りを向けていた
リドルスはそんな
「よろしい。 では手始めに、お主らの手でその小娘を始末せよ。 お主らの様な
――必要無い。
そう言おうとしたのだろうが……彼がそれを言い切る事は未来永劫無かった。
幾重にも重なり極端に鋭くなった水の槍、数える事も馬鹿らしくなる程の無数の風の刃、大きさはそのままに先程よりも遥かに強い輝きを放つ紅蓮の爪。
怒りを通り越し、我を忘れた
二度の『
――あまりにも呆気なく、この世を去った。
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