蒸す
「あっつ……」
思わず口に出してしまう程度には部屋の中が蒸し暑い。
昨日は随分と涼しかったから、エアコンを止めて窓を開けてそこから入ってくる風で十分に過ごせていたというのに、今日はその涼しさは何処かへと消えてしまって真夏日のように暑い。まあ実際真夏ではあるし、なんならその暑さで飛び起きた。
開いていた窓からは生温い風しか入ってこず、余計に室内が熱くなっていた。慌てて窓を閉めてエアコンを点けたが、涼しい風が大して広くもない部屋を冷やしてくれるにはまだまだ時間が掛かりそうだ。
日差しから避難して、気を紛らわせようと煙草を吸っていたが、やっぱり暑いことには変わりない。
じっとりとした汗のせいで着ている服が背中に張り付くのを感じる。火の点いた煙草を持つ手も熱くて、正直手放したいが火を点けばっかりで勿体ない精神が勝っているのでそれだけはしない。
「あー」と意味もない言葉を吐いて座椅子の背凭れに体を預けて足も投げ出す。煙草の煙を吸って吐いて、天井で漂う煙をぼうっと眺める。
「……天気予報ちゃんと見とけばよかった」
汗が首から胸元へと伝って落ちるのを感じた。
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