お久しぶりですね、私のこと覚えてますか?
ベームズ
……誰?
「「誰?」」
ハモった。
長い黒髪、
細身なすらっとした肢体。
エトと自称ネズミの女の子(裸)の前に現れた(エト宅の玄関から出てきた)のはそんな女の子だった。
女の子2は、その性格キツそうな目でエトとその隣にいる裸の女の子1を睨んでいる。
「服は着ている。人間か」
自分の家から出てきた知らない人を見てまずエトが思ったのはそんなことだった。
「何言ってんのよ‼︎わたしの名前はミヤよ‼︎それよりそのメスは何!?」
ミヤと名乗る女の子2は、1を指差して敵意を剥き出しにする。
指された方はビクッと跳ねてエトの後ろへ隠れた。
「いやいや、こっちからしたらうちの玄関から知らない人が出てきた方が怖いから、美少女じゃなかったらとっくに通報してる」
裸の女の子を連れ込んでるし、警察ごとにしたら自分の方が危なそうだがと思うエト。
「あんたこそ何言ってんのよ‼︎ここは私のうちでもあるのよ!?」
「ん?なんだって!?」
驚きを隠せないエト。
いつからこんな美少女と同棲していたんだと真剣に考えている。
「……まさか忘れたの?私のこと」
女の子2は、絶望の表情になり、頭からピンと張っていた黒い耳が垂れ下がる。
「って耳!?」
よく見たら細長い黒い尻尾もチラチラ見えることに気づいたエトは、目が飛び出そうな勢いで驚く。
「黒い尻尾に黒い耳でミヤって、まさかミヤなのか?」
ミヤとは、以前エトが拾ってきて、うちで飼うことにした猫だ。
そしてネズミの女の子からしたら自分を半殺しにしたトラウマものの相手。
横を見ると、予想通り女の子1はびびってガタガタ震えてるし間違いないだろうと、エトはミヤが本当に自分の飼い猫のミヤであることを確信した。
「思い出してくれたのね!?嬉し……遅いわよボケてんじゃない?」
ツーン……
あくまで強気なミヤ。
「それで?そいつは何なの?」
気を取り直して再び1を指差して問い詰めるミヤ、
「ずるい……」
「ん?なんか言ったか?」
背後からの声に振り返るエト。
「ミヤさんには名前があるのにわたしにはない‼︎ずるいです‼︎羨ましい‼︎」
尻尾をブンブン振って力一杯出てきた1。
「確かにな」
いい加減1呼ばわりは可哀想かなと名前を聞こうとしていたエトは、名前が無いと知って
「……なんて呼べばいい?」
「エトさんにつけて欲しいです‼︎」
「何?」
名前をつけることになった。
「そんなのいらないわよ‼︎わけのわからない奴は追い出してエト‼︎出て行けこのドロボウね……」
最後まで言おうとして途中で何かに気づいたようでハッと口を塞ぐミヤ。
その様子を見ていた女の子1はニヤリと強気な表情になり、
「今泥棒猫って言いそうになりましたね!?猫のくせに‼︎アハハハハ‼︎」
エトの腕からチョロチョロ出ては強気にで出した。
「くっ、誰よこんな言葉考えた奴アホじゃないの!?」
そして反応するミヤ。
「いいから黙って出ていきなさいネズミ‼︎」
「いやです‼︎出ていきません‼︎だいたいわけもわからなくないですから‼︎」
それに負けじと反発し出した1。
エトの爽やかな朝のモーニングタイムは壮絶な修羅場と化した。
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