流砂河の底で

田中紀峰

プロローグ

・・・そのころ流沙河りゅうさがの河底にんでおった化け物の総数およそ一万三千、なかで、彼ばかり心弱きはなかった。彼に言わせると、自分は今までに九人の僧侶をくらった罰で、それら九人のしゃれこうべが自分のくびの周りについて離れないのだそうだが、他の化け物らには誰にもそんなしゃれこうべは見えなかった。(中島敦「悟浄出世」)

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