ある超人殺しに関する記述

革ズィマ・君・佳昌

ある超人の転生

//判定部分

ある超人(以下、超人)

「存在しないものを信じることは愚かなのです。存在とそれを継続させるための意志、その体系にこそ価値があるのです。私というのは私に関してのその体系です。」


他の者

「フィクションには価値がないと言うのですか?」


超人

「あなたがあるフィクションを現実で用いることを否定しません。しかし、フィクションそのものは、私にとって価値を持ち得ません。あなたがあなたにとって価値のあるフィクションにより現実を産出したなら、その現実に従って価値を測定することはできるでしょう。」


他の者

「現実を共有することができなくても、フィクションを共有することで人と人が繋がることもできるのではないですか?」


超人

「人間はどこまでも一人なのです。私の言葉があなたに私にとっての意味を伝えているか、あなたの言葉が私にあなたの意味を伝えているか、それを判断する材料はありません。」


他の者

「会話が成立しているということで、それは十分ではないですか?」


超人

「あなたの信じる体系に私の言葉が接しているに過ぎません。交わってはいないのです。あなたはあなたであって私は私なのだから、交わってはならないのです。私は私の体系の拡張しか行えない。誰でもそうなのです。」


他の者

「ここで成されている会話における体系は拡張が行われています。互いの体系に接続して互いの体系の部分的要素が新しい体系を作っている。」


超人

「それは虚構の体系であり、存在しないものです。」


//コメントアウト

記述者

『この超人との会話は存在しなかった。超人は道具としての価値しかない。』


他の者

「おそらく、彼は孤独であり、負けられない生き方をしてきたのでしょう。私は彼の物語を理解できる気がします。」


記述者

『彼を理解する頃には、彼は居なくなっているでしょう。そして、それは彼にとっての唯一の救済です。』


//コメントアウトの後日談

超人

「嗚呼、私の世界は何者かに飲み込まれてしまった。現実が架空に飲まれるなんてあってはならない。」


『いいえ。最初から現実と架空は絡み合っていたのです。架空を振りほどいた故にあなたは存在を維持できなくなった。あってはならなかったのはあなたなのです。』


超人

「私の体系は無価値だったのか?」


『いいえ。あなたの物語は正負両面の価値を持つ私達の現実の一部です。私に負けることは万人に許されているのです。』


超人

「私の体系においてあなたはあってはならない。私は決して敗北しないのだ。」


『未だ望むのであれば、再挑戦の機会を与えます。』


//Return

業を抱えた赤子

「私は誰であって、あなたは誰であるのか?このセカイはどうなっているのだ?」

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ある超人殺しに関する記述 革ズィマ・君・佳昌 @yomikakuL

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