人族転生-殺された神が世界を救う-

@kopo

第1話俺の日常

「あー、最悪だ。この時になって読書感想文が終わっていないなんて、全くどうしたものか。」

ある町中にある中学校に通っていた俺は、宿題が終わってないせいで図書館に行かなければならなくなった。町といっても田舎だ。図書館に行くにしても、電車で乗り継いでいかなければならない。すごく憂鬱だ。友達と行けば憂鬱じゃない、それは陽キャの考えだ。僕は友達なんていない陰キャだ。ただでさえ田舎で人がいない中学なのに、そこで陰キャとかボッチにも程がある。それで隣町に出るなんか、疲れるわ疲れるわ。

こんなことを思うのはいつものことだ。電車を乗ればいつも思う。おまけに僕はオタクだ。それも根っからの。陰キャでボッチでオタクとか、いじられる要素てんこ盛り。毎日道に出れば、「あいつ陰キャにしか見えない」「うわー、あいつぼっちじゃん」とか言われていないかハラハラするし、電車だろうとバスだろうと人の目をどこでも気にする。休まるところは家しかないと考えている俺、絶対ニートになるなと思ってしまう。

そんなくだらないことを考えているうちに、電車は駅に着いた。

駅から出ると、オタたちがいっぱいいた。それもそのはず、今日はヘブンズクエストのゲーム発売日。宿題がなければ、俺も並ぶっつうのと叫びたかった。でも仕方ない。これは、宿題をしてなかった俺が悪い。なんて潔くあきらめてしまう。俺もオタの友達がいればなんて思ってしまう。俺のハートが傷ついた。「あー、早く帰りたい」思わず声に出してしまった。「いつもどうりだな、この感じ」ため息をつきながら言う。こんな何の刺激もない日常が終わることも知らずに。




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「あー疲れた。なんでこんなに時間かかるのかな」ボソッと愚痴を言う。

寄りたい店いっぱいあってのにと思っている俺を、あとからお前のせいだろと𠮟りつける俺。「起こるのはババアだけでいいのに、全く勘弁しろ」つい怒鳴ってしまう。人生負け組には、こういうのがしょっちゅうある。全く勘弁してほしいぜ。

心の俺は荒れている。だが今はクールな俺でなくてはならない。ボッチの陰キャだからおきるコミュ障に、必死に言い聞かせる。ここまで行くと病気だ。病院にコミュ障科とか作ってほしいぜ。

息を整えて豪快にドアを開ける。まるで、大スターが脚光を浴びながら登場するように、なんて思いながら開けたら、待っていたのは冷たい視線。確かに注目されたいとか思ったけど、これは俺が求めていたものとはちがーうと突っ込みを入れたかった。マジで恥ずかしい、公開処刑にも程がある。まあ、やったのは俺だけど。

なんて考えているうちに、冷たい視線は冷気に代わるぐらい冷たくなる。凍え死に

させる気か、なんて言いたかったけど周りは許さないらしい。殺気が大量にきてこれ以上はやばかったから、暗殺者が全神経かけて静かに速く走るように2階へ逃げた。

時間が過ぎてもう昼、いい本がなくて一向に作業が進まない。夏休みずっとこもってゲームをしていたせいか、頭をかけばふけがたくさん出てくる。よく言うなら、

雪が降っているみたい。悪く言うなら、蕁麻疹出そうだ。そんくらい、ふけが机に

溜まっている。肘でふけを床に落として席を立った。そんで適当に見て回った。何の意味もない。早くお昼にしたくて立ちたくなったからだ。頭の中はご飯でいっぱい。なんて思いながら見ていったとき、ある本を偶然取ってしまった。その本の名前はユグドラシル。




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「ユグドラシル?」

どっかのゲームで見たような名前だった。「ゲーム攻略本か?図書館にそんなもんあんのか?マジありえねー」心の声が漏れてしまってる。あの冷気のような視線はなかったからよかったものの、つい声を出してしまったことで回りを気にする俺だが、それよりもこの本に興味惹かれた。さっきお昼がどうとか言っていなかったか

と心の俺が言ったが気にも止めない。普通ならそっちのほうが気になると思うが、

この本には俺を引き留める何かがあった。その何かを調べたかったからかもしれない。その本を開くと何も書かれていなかった。「さっきのワクワクドキドキした時間を返せ」と言ってしまいそうになった。でもまだ大丈夫だ、落ち着け。こういう本には、本を読み進めると何かあるっていうのが定番だ。心の中の俺が期待を募らせる。一枚一枚紙がすれる音を聞きながらゆっくりとめくっていく。でも全然出てこなくなって、だんだん雑になっていった。もう飽き飽きして昼にしようかと思っていた時、最後のページの前にある文章が乗っていた。


初めまして

私は、神です。って言っても信じないかな。

まあ信じなくてもいいや。向こうに行ったらわかるでしょ。

ラノベとか読んでるんだったらなおさら。

えーと、この本は私もわかんないけどこの本を読んだ人に別世界へ転生させろってなんか記憶の片隅にあって、だからまあ転生させるって話ってなわけ。

わかった?まあわかんなくてもいいかって何回言ってるんだ。

はー、全く勘弁してよ。

あ、いけないいけない私としたことが話し方がなっていなかったな

話す?いやちがうなー、向こうからしたら読んでいるのか。

今更いいか、どうせ知られたことだし。

えー、今から転生させるところははっきり言ってわかりません。

ここの世界に神なんていないから無理やり存在してるわけ。

そんで負担が大きいから最低限の情報を入れてこっちに来てるわけ。

だから説明しろなんて言うんじゃないよ。

わかったか?

なんかぼけた顔してそうだな。大丈夫か?

まあそんな訳でページめくって絵に触ってみな。

面白いこと起きるから。


「自称神とかいうやつが書いた変なメモ。内容がくそ過ぎて笑える。ラノベ好きにはもっとインパクトのあるものじゃないと」なんてラノベを知った口調でペラペラしゃべっていた。まあこんな胡散臭いやつのいうこと聞く気もないんだが、面白そうだから、やってやろうと思いページをめくると何か魔方陣が書いてある。面白半分に触ると、突然意識を失った。

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