ひだまりの民の勝利報告?その5
会議に参加したそれぞれの思惑を意識しつつテレスは報告を続けます。
「私たちデンゲル人とバグダの部隊による分断工作でガチスに偽の情報を大量に送ることに成功しました」
以前も話した通り、テレスたちは反ひだまりの工作を続けるガチス人やデンゲル人の固有名を調べ、彼らが実はひだまりのダブルスパイであるという情報を大量に送りました。
そして、初めの時期はガチス側の方でそうしたダブルスパイと非効率な工作員を処罰する方針だったので、見事作戦が成功しました。
しかし、とテレスは話を続けます。
「流石にやりすぎと感じたせいか、途中からガチス上層部と情報部は簡単には偽情報には引っかからなくなりました」
「そこでバグダと相談して本物のダブルスパイに関する情報をいくつか流しつつ、様子を見ることにしました」
これは非情でした。
味方を敵に売ったのです。
これはバグダの天才的思考によるもので、まともな精神を持った人間ならこういう発想は出ないでしょうし、出ても理性で押さえます。
しかし、この策にガチスは見事にはまりいままで以上にダブルスパイに目を光らせることになりました。
この作戦の副産物として、以前にもまして、ガチス工作員の戦況報告が誇大に、そして実態から離れたものになりました。
そして、誇大な報告をしつつも真面目に祖国ガチスのために働く工作員が激減したのです。
ここまではガチスとひだまりの話でしたがここからテレスはデンゲル主体に話を切り替えます。
「これを知ったデンゲルの宰相は激怒し、デンゲルとガチスにいるダブルスパイを片っ端から見つけ出し罰するように厳命を下しました」
「実はこれが対AI対策の決定打になりました、ガチス情報部はデンゲル宰相のことを忠実な手駒と見ていて、彼のやることなら信用して良いと判断を下しました」
「つまり私たちひだまり側から、あるいは得体のしれない情報に対しては警戒していたガチスも、その情報の出どこがデンゲルから来たものと判断した場合はノーマークで信用したのです」
「しかも宰相は自分が間違えることも結果として利用されていることも決して理解しないしできません、これで事実上ガチスの情報網は有名無実化したのです」
テレスは結論をはっきり述べました。
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