第64話 フウイの決断

フウイは祭り之介とコモロウの二人の言い分を聞いていました。

それぞれに思い入れがあり理屈もあります。

ですが、この件では意外とあっさりフウイは決断しました。


「コモロウの提案に大筋賛成する」。

祭り之介が理由を問うと、今この島津義弘大河ドラマ誘致運動の私たちの活動は危急存亡の秋にあります、このままでは完全に忘れられてしまいます、かと言って今までのやり方はできず、小説も先細りでは将来はありません。


なのでより可能性のあるコモロウのなろう系小説への転換に賛成します。

こう言われては、祭り之介も引きさがざるを得ません。

ただ、条件をいくつかフウイは付けました。


まず、小説は前回書いた小説の続き、あるいはリトライ版とすること、これはいままで祭り之介が危惧した、今までの事柄をなかったことにしないための提案でした。

それと、小説の設定はなろう系ですから現代設定とは異なるフィクション形式にすること。


さらに、これはコモロウの意見を尊重したものですが、出来るだけストレスがたまらない痛快活劇のようなものにすること、などでした。

祭り之介は真面目な性格なのではじめはあまり乗り気ではありませんでした。


ですが多数決で負けたことと、いつも慎重で消極的なフウイが取って代わったかのように積極的な提案をしていたのでその気に飲まれてしまったようです。


この時、祭り之介は気づいたのですが、いつも積極的な自分が保守的に、いつも慎重なフウイやネガティブ思考のコモロウが積極的な考え方になっているのを見て何か不思議な気分になりました。


でも、いろいろ考えた挙句このような結論になったのは祭り之介としてもいい感じに思えてきました。


ある意味ここからが【ゼロからはじめる島津大河誘致】なのではないか、そんな気を祭り之介は持つことになったのです。

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