其の拾弐 「ハロウィーン」{怖}

これは、アメリカの友人に聞いた話。

「何か怖い話知らん?」って訊いたら、教えてくれた。


その日は、ハロウィーンだったそうだ。

アメリカのは日本のよりもガチな感じでさ。その友人も来るであろう子供達に飴とか用意して待ってたんだ。

六時から八時が一番多い時間帯なんだけど、その友人とこにも五時半くらいから来はじめて、色んな仮装にビックリしたりして楽しんだんだって。


八時半くらいに中学生くらいの五、六人で一番えぐい仮装のグループが来て、友人はその仮装を誉めつつその子達全員にお菓子渡してから外に置いてあるカボチャを片付けていた。

その時、家の前の道に小さな人影が見えた。


「まだ子供が居るんだな」なんて思っていると、その人影も友人に気付いたらしく、

ズズッベチャ ズッベチャ ズズッベチャ ズリ

というような、何か湿ったような音と共に友人に近付いてきた。


ただ話を聞いただけの僕でも、それに遭遇した友人の心情に察しが付いた。

顔はグチャグチャで、膝から下がない。そんなモノが音をたてて移動していた。

それは血を一滴も流さずに友人の前まで来ると、気持ちの悪いザラザラとした音の混じった声で一言。


「ドリッグオアドリード」


友人は、怖くてたまらない筈なのに、それがそこに事が自然に感じられたと言っていた。それは、動けない友人にニヤリと笑ったような顔を向けるとスッーッと消えた。


僕は友人に、一度だけ、


「その『』はあったのかい?」


そう訊いてみたことがある。しかし、友人はこれ以上語ってくれなかった。

でも、その顔を見たら何かがあったことは容易に想像できてしまったし、それ以上は訊くことも出来なかった。


だから今、PCのディスプレイに反射して見えてしまったに僕が何をされるのかが、全く想像できずにいる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る