第13話
「さぁ、一、覚悟しなさい!
今日は、とことん部屋を調べてあげるんだから!」
清空が、嬉しそうに言う。
「クラブは?」
「休む!」
「サボりはダメだぞー」
「帰宅部の一に言われたくない!」
俺と清空が、そんなことを言っていると遥ちゃんが、俺の手を引っ張る。
「さ、無駄話してないで一の家に行くわよ」
「あー!
私も、一と手をつなぐー」
清空も、そう言って俺の手を引っ張る。
「モテモテだな」
恋次君が、笑いを堪えている。
「恋次君、笑ってないで助けて……」
「生憎、俺は、部活に行くんでな……
ここは、ドカンと童貞を捨ててこい」
恋次君は、そう言って俺の肩をポンポンと叩くと教室を出て言った。
清空と遥ちゃんが、俺の手を引っ張るので腕が痛い。
そして、男子生徒の視線も痛い。
一応、清空は校内で2番目で美人と言われている。
そして、遥ちゃんは、校内どころか街で一番の美人と言われている。
その2人に手を引っ張られている。
一見幸せな光景だろう。
だけど、この男子生徒たちから浴びる痛い視線は辛いものがある。
嫌がらせとか陰湿なモノは今のところない。
それが、せめてもの救いだけど、モテない前世を送っている俺にしてみればどう過ごせばいいのかわからないのが、この現世。
この先、俺は、かみさまが用意してくれた運命の女の子と出会えるのだろうか?
それとも清空が運命の子なのだろうか?
「は・じ・め♪」
清空が、俺の腕にしがみ付く。
少し重い。
「あら、男の子はこうした方が喜ぶのよ?」
遥ちゃんが、その大きな胸を俺の胸に当てる。
柔らかく暖かい感触が俺の腕から脳を刺激する。
「私、胸にないもん……」
清空が、残念そうに呟く。
「大丈夫。重要なのはテクよ!」
遥ちゃんが、そう言うと清空の顔が赤くなる。
「と言うか、遥ちゃん彼氏いるのに良いの?」
俺は、少しでも人が減ることを祈りつつ遥ちゃんに尋ねた。
「友達の家に行くのにそんなのは、関係ないわ」
遥ちゃんは、俺の体に自分の体を密着させる。
「あー。
遥ちゃん、ずるい!」
清空が、俺の背中に乗る。
「一!おんぶだ!
走れー」
清空が、耳元で大きな声を出す。
五月蠅いったら、ありゃしない……
「清空ちゃんには敵わないわね」
遥ちゃんが、俺から離れる。
すると清空の笑顔がさらに笑顔になり俺の背中で暴れる。
「おんぶ!おんぶ!おんぶ!」
好かれる行為は知らないけれど。
避けられる行為は知っている。
「俺が清空をおんぶするってことは尻は触り放題。
胸は、俺の背中に当たる。
俺は、得してもお前は損だぞ?」
うん。
このセクハラ発言。
どんな女子も引く。
これで、清空も少しは、俺から離れるだろう。
「えー。
一は、お尻フェチなの?」
「へ?」
清空は、俺のセクハラ発言なんて気にもせず変な方向に話を持っていった。
「お尻も胸も一専用だよ?
ブリトラも言ってるでしょ?
この小さな胸で、一を守ってあげる。
この小さな胸で、夢が育ってる。
この小さな胸は、一専用!」
「ブリトラって誰?」
「えー。一!
ブリーフ&トランクス知らないの?」
清空が、目を丸くさせて驚く。
「私も知らないわね……」
遥ちゃんは、そう言って俺の顎に手を当てる。
そして、言葉を続ける。
「一君は、ブリーフ派?それともトランクス派?」
「え?」
「あー!
私も興味ある!」
清空が、耳元で騒ぐ。
「いや、それは、教えられないなぁ……」
「一の部屋でチェックだー」
清空が、腕をあげて喜ぶ。
「おー」
遥ちゃんも、腕をあげて喜ぶ。
さて、どうやって下着とAVチェックを阻止しようか?
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