あなたを忘れられずに異世界から

公園を散歩中に足をすべらせて異世界に転移した私。転移先では韓国風のイケメン皇帝に気に入られて皇后候補になりました。


でも実は元の世界に婚約者がいるのです。


「本当に行ってしまうのか……。」


イケメン皇帝にせつない表情で見つめられます。


「陛下、申し訳ございません。」


陛下は頬にキスをしてくださいました。お香のいい薫りがしました。イケメン皇帝からの愛を振りきって元の日本に帰ってきました。


「えっと、同棲していたアパートへ帰らなきゃ。」


アパートのドアを開けてみました。


ガチャッ


「あれっ? いない!」


真っ暗です。誰もいません。郵便ポストには請求書の封筒があふれかえっています。


「どうしたんだろう。まさか、彼も異世界へ?」


アパートを出て公園に行きました。

あっ、あそこにいるのは!

私の婚約者!


「ダーリン!」

彼に向かって手を振ります。


「おおっ! どこ行ってたんだよ!」


彼が走ってきて抱きしめてくれました。


「あれ? ダーリン、なんか臭い。」

クンクンとにおいをかぎます。


「あ〜、におうよな〜。電気もガスも水道も停められちった。」


公園に体を洗いに来たそうです。


「えっ、働いてないの?」


「そうそう。お前が居なくなってパチンコ以外、何も手につかなくて。最近負け続きでさ。助けてよ〜。」


「戻ってくるんじゃなかった!」



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