第4話 はくちょう座
いきなり咳が出てきたと思ったら、身体が一気に怠くなって体温が下がるのが自分でも怖いくらい分かる。
寒気が出てくる。
今どこだっけ。
角を一つ越えた先。
もうそこはすっかり覚えたはずなのに。
「大丈夫ですか…!?」
声がした。
でも、僕が探している声じゃない。
いつも玄関を掃除している人か。
「大丈夫…です。その、プラネタリウム…今日、ありますか?」
「………」
「?」
「あのね、その…。辞めちゃったの。あの子。見送っていた」
「辞めた…」
「…そうよ」
「………」
「……見る?プラネタリウム」
寒気が体と一体化して、もう何も感じない。
ドームの席に、いつもの席に座った。
無機質な機械音がして、その音は体の芯に染み込んだ。
案内の声は、聞こえなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます