第4話 はくちょう座

 いきなり咳が出てきたと思ったら、身体が一気に怠くなって体温が下がるのが自分でも怖いくらい分かる。

 寒気が出てくる。


 今どこだっけ。


 角を一つ越えた先。

 もうそこはすっかり覚えたはずなのに。



「大丈夫ですか…!?」



 声がした。


 でも、僕が探している声じゃない。

 いつも玄関を掃除している人か。



「大丈夫…です。その、プラネタリウム…今日、ありますか?」


「………」


「?」



「あのね、その…。辞めちゃったの。あの子。見送っていた」


「辞めた…」


「…そうよ」








「………」
















「……見る?プラネタリウム」







 寒気が体と一体化して、もう何も感じない。










 ドームの席に、いつもの席に座った。







 無機質な機械音がして、その音は体の芯に染み込んだ。





















 案内の声は、聞こえなかった。

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