名もなき妹

勝利だギューちゃん

第1話

高校からの帰り、買い物をしに、スーパーに立ち寄った。

僕の家は、母子家庭。


母は会社勤めなので、家事は僕がしている。

妹はまだ小さいので、全てが僕がまかなっている。


「えーと、何にしようかな」


ポンと肩を叩かれる。


「久しぶり」

そこには、中学時代の同級生の女の子がいた。

いたのだが・・・

名前が出てない。


「ねえ、大和くん。ひとつ訊いていい?」

「何?」

大和武蔵。

僕の名前だ。


名前だけは、勇ましいが、名は体と現さない。


「説明終わった?」

「うん」

「なら改めて・・・」

「はい」

女の子は自分を指差す。


「私の名前は?」


数分の時がたった。


「同級生でしょ?クラスメイトだったでしょ?大和くん」

「いや・・・歳を取ると、物忘れがひどくて・・・」

「まだ、そんな歳じゃないでしよ」


いや、歳は関係ない・・

って、あるか・・・


「で、僕に何か?」

「そうそう。近いうちにお邪魔するから」

社交辞令だな。


「ああ。待ってるよ」

「じゃあ。お母さんによろしくね」


女の子は去って行った。


数日後、母が再婚すると、相手とその娘さんを、連れてきた。


そして、その娘さんの顔を見て、驚いた。

あの日の女の子。


女の子は開口一番、こう言った。


【よろしくね。お兄ちゃん】


ところで、この子の名前は?

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名もなき妹 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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