「あとがき」と「まえおき」
清泪(せいな)
ありあわせ
第1話 集団下校
目が覚めてみれば、外が何かと騒がしい。
まだ寝惚けたままの私は、何度か寝転がりその騒がしさも夢の中へと連れていってやろうかと思ったが、なかなかどうして騒がしさの方が勝ってくれる。
何事かと思い、イライラする頭を掻きながら私は立ち上がり部屋のカーテンを開いた。
窓から外を見てみると、そこには中学生らしき子供達がゾロゾロと歩いている。
集団下校か?
最近の集団下校には保護者もついてくるのか、親御さんも共に歩いている。集団下校に母親付きなんてなんたるマザコンか?いやいや、子離れできないモンスターペアレントの仕業か。
こういう時には父親というものはなかなかどうして仕事優先で来ないもんだが、どうやらこの集団下校する学校は違うようで家族総出で下校している。
弟や妹らしき幼児も一緒に歩いている。爺さん婆さんまで一緒に歩いている。
楽しい家族計画だ。まさに集団下校。
って、ゾロゾロゾロゾロと何の祭りだこれは。なんだろう、私が住むこの地域にはそんな習慣や学校規則は無かったはすだ。中学卒業より十年程で色々と変わってしまったのだろうか。
巷には、子供を狙った凶悪犯罪が多いと聞く。学校にまで侵入し、児童を殺傷する極悪犯もいるようだ。
精神鑑定され情緒不安定で酌量処置されるとかよく聞くが、人を殺すときは大抵情緒は不安定なんじゃないだろうか? まぁ、そういったニュースは私が中学生の時にも聞いた話で。
巷には子供が犯した凶悪犯罪も多いと聞く。
物理的なイジメからネットイジメ。インターネットから情報を得て爆弾を作る小学生。
飼育してるウサギを殺すことがエスカレートして少年の首を正門前に置いたり。
むしゃくしゃしてやった、反省はしてる。
無茶苦茶をしてみたかった、反省はしてない。
まぁ、そういったニュースも私が中学生の時から聞いた話で。当時は、素知らぬ大人に只十四歳だというだけで何故か恐れられたもんだ。素知らぬ大人の方が、十四歳には怖いもんなんだけど。実の親にも、心配されたものな。
外を騒がしく歩く中学生達のように、家族同伴で集団下校、集団防犯などあり得ない。
いや、実はあれは。防犯と言うより監視なのだろうか?
我が子の監視。家族総出で、息子を娘を監視する。
疑心暗鬼な世の中だ。いつだって敵は内にある。
我が敵は我に有り。
そうやって昔三人組の人気俳優が歌ってた気がする。
くだらない妄想をしてみても、なかなかどうして中学生達の流れは止まらない。騒がしく騒がしく、私の家の前を通りすぎていく。
そもそも私の家と言っても、マンションの五階だ。5Fだ。
この高さで窓を閉めきっていると言うのに響く騒音は、近所迷惑だというもんだ。あの集団家族計画が騒がしいのか、このマンションが防音設備を怠っているのか。
マンション会社に、苦情を入れればいいのか。あの中学生達が通う中学校に、苦情を入れればいいのか。
これほど、徒歩で集団的に移動してるとこからすると近くの中学校だろう。制服は私の時代から変わりが無い様だから、あぁ愛しき母校だ。
母校への、クレーマークレーマー。
因みに、クレーマークレーマーという映画があるが観たことが無い。感動巨編、らしい。
クレームを出す話に、何の感動が生まれるのだろうか? 今、私がクレームを出すことによって得られる感動と言えば、再び安らかなる眠りにつけることぐらいだ。
なるほど、感動巨編だ。
しかし、中学校にクレームをつけたところで直ぐ様静かになるのだろうか。静かにするための、注意がまた煩く響く気がして仕方がない。
静かにしろとクレームを出してるのに、教師たちは拡声器を使って大声で静寂を呼び掛けるのだろう。教師というものは、大抵そういうものだ。
私が中学生の頃に、合唱コンクールというものがあったがその練習中にある事件が起きた。
皆が歌うのを恥ずかしがって声を出さなかったのだ。花も恥じらう麗しの、とは違い華を恥じらう思春期の中学生だ。
目立つのは嫌い。
そうしてると当然、教師は怒りだす。やる気の無い奴は教室から出ていけ、と。
華を恥じらう思春期の中学生は、それでいて大人が嫌いな反抗期だ。目立つことすら忘れて教室を出ていこうとしたら、また教師は怒った。
何故出ていくんだ?、と。
詐欺だ、詐欺師だ。金銭的には一切問題無いが、何だか詐欺にあったような感覚だ。
結局、強制的に歌を歌わされ合唱コンクールをさせられるのだから、何だか獄中の人間のようだ。
選択肢など、無かったのだ。提示された物は、嘘だったのだ。
ああ、だから教師も大人も嫌いなんだ。平気で嘘を凶器として振りかざす。
もういい、クレームは止めよう。
……爆破予告してやろうか。
いやいや、騒音ぐらいに早まるな私。
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