第3話:傷を負ったエルフの女性

一瞬、色んな事に疲れ果てに事による幻聴かとも思ったが、だが、ハッキリと耳に残った悲鳴に、カレンは目の前まで迫ってきた狼型の魔物を掌底でぶっ飛ばす。

ぶっ飛ばされた魔物は、木に激突して気絶した。カレンは気絶した魔物を放置し、すぐに大剣を握りなおして悲鳴がする方へと向かった。


すると、そこには……


「グルルルル……!」


「うぅ……!?」


先程カレンが吹っ飛ばしたのと同種の狼型の魔物が、唸り声を上げて倒れている女性に迫ってきていた。よく見てみると、女性はエルフで、お腹に攻撃を受けたのか、お腹かや血を流して倒れながらも、背後の木にある何かを守るように魔物と対峙しようとしていた。


「こんのおぉ〜ーーーーーー!!!!」


カレンはすぐに女性に迫ろうとしてる魔物を大剣で真っ二つに斬り伏せた。


「あなた!?大丈夫!!?」


カレンはすぐに女性に駆け寄ろうとしたが……


「グルワアァァァ〜ーーーーーー!!!!」


「ちっ!!?」


もう一匹狼型の魔物がカレン達の前に立ちはだかった。恐らく、先程カレンが掌底で気絶した魔物だろうとカレンは正しく判断したと同時に、さっさとトドメを刺しておくんだった後悔した。


「邪魔!!!!」


カレンはもう一匹の魔物もアッサリと斬り伏せると、今度は周囲に魔物の気配がないかを確認した後に、再び女性に話しかけた。


「あなた!?大丈夫!!?すぐに治療を……!!?」


すぐに回復薬で女性を手当てしようと思ったカレンだったが、回復薬は全てバッカスに渡してしまった事を思い出し、思わず舌打ちしてしまう。こうなるなら、一個ぐらい黙って貰うべきだったと今更ながらに後悔した。


「まだ治療院に行けば間に合うか……!?」


止血のやり方なら簡易ながらカレンにも分かるので、女性を抱えて行けばなんとか間に合うのでは?カレンはそう考えたのだが……


「私の事はいい……もう自分でも……分かる……から……だから……お願いがあるの……」


「えっ……?お願い……?」


「この娘達を……守る……の……手伝って……」


カレンがよく見ると女性がずっと庇うようにしていた女性の背後にあったのは……


「えっ……?子供……!?」


そこには、2人のそっくりな顔立ちをした2人のエルフの赤ん坊がいた……

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