11/17通信士「140字まで」
「どこから送られてきてるんでしょうね、これ」
「さあな。とりあえず解読班に回してくれ」
どこかわからないところから、謎のメッセージが送られてきてから三週間。解読班は暗号で書かれたメッセージを問題なく読み解けるようになった。しかしこれがどこから送られてきたのかは全くわからない。とにかくとても離れたところから届いていることだけしかわからないようだ。
「昨日のメッセージはアレでしたよね。意味がわかると怖いってやつ」
メッセージは全て一四〇字以内で、内容も、それを発信した人もおそらくバラバラなんだという。しかも言語も複数あって、解読班は毎日頭を抱えているそうだ。今日はどんなメッセージが届いたのだろう。
《解読完了したよ。『すいません。新刊落とします』だそうだよ》
解読班からのメッセージが送られてくる。今日のメッセージもしょうもない内容だった。深刻な内容のときもあるけれど、おそらく僕たちなんかに助けを求めているわけではない。なぜかはわからないが、たまに迷い込んでしまうだけなのだろう。
「なんかこう、もっと面白いの来ませんかね」
「面白いの?」
「愛憎劇とか」
「一四〇字じゃ無理だろ」
「だって救難信号とか言うと不謹慎じゃないですか」
もう言っているも同然だが、そこは黙っておく。確かに自分だってそれを期待してしまっているところはあるのだ。謎のメッセージ。解読しても特に意味のない内容。こんなものではなく、もっと意味のあるものがほしい。そう思ってしまうのだ。
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