霜月小話 #novelber

11/11時雨「本日は私用のためお休みをいただきます」

　今日は年休を取ったからどこかに遊びに行こうと思ったのに、朝から降ったり止んだりを繰り返す雨のせいで、結局夕方まで家にいた。そのことを修治にLINEすると、「そういうもんですよね」と返ってきた。

　そう。そういうもんなのだ。悲しいことに、出かける必要があるか、出かけるという強い意志がなければ、何となく外に行こうなんて気持ちは雨ひとつで簡単に流されてしまう。せっかくリフレッシュしようと思ったのに、そんなことはできないまま、明日からはまた普通に仕事だ。

　なんだか無駄な時間を過ごした気分、とメッセージを送る。修治はすぐに、「そういう時間も必要ですよ」と送ってきた。そのあとにスタンプがひとつ。最近彼の中でブームを迎えている、こちらの言葉をとにかく肯定してくれるペンギンのスタンプだ。

　欲しかったのはそれではないのだけど、鈍感な修治が気付くはずもない。はっきり言わなければわからない人だから、私の返信はこうだ。

「今からご飯食べに行かない？」