贈り物
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第1話
贈り物 izw
私の彼氏が優しすぎる話を聞いてください。まず、彼氏は誰かと言うとクイズ王でおなじみの伊沢さんなんですね。しかも6歳も年上なんです。私はまだ19歳。彼は割と我儘を聞いてくれちゃうんです。今度のデートここ行きたい!って言えば連れてってくれるし、これ食べたいって言えば食べに行こうって言ってくれる。何なら、これ食べたいな〜って考えてると、彼に言ってないのに仕事帰りに買ってきたよ、なんて言って買ってきてくれる。テレパシーが使えるなんて最高じゃないか。
でもね、1つだけ悩みがあるんです。それは、いくら誘っても"夜のお誘いは断る"こと。今まで割と大胆に誘ってきたつもりなのに、彼は困ったように微笑んで優しいキスを落とすだけ。子供扱いされてるようで悔しくて仕方ないんです。だから、今日彼に聞いてみます。手を出さない理由を。私の誕生日の前日の夜に。
『ただいま〜』
「拓司おかえり!」
『まだ起きてたの?先寝てても良かったのに』
「1日1回拓司の顔見ないとやってられない」
『ははっ、可愛いこと言うじゃん』
「いやだって事実だもん…」
可愛い可愛い、なんて言って頭を少し撫でる。やっぱり子供扱いされてる…。
時計の針が11時を指す。ご飯もお風呂も終え、拓司に今日あったことを色々話し始めようとしたら、彼に先に言われてしまった。
『そういえばさ』
「うん?」
『今朝プチトマト残したでしょ』
「…」
『図星なんだな』
「なんでわかったの」
『だってプチトマトのパックの中身が減ってないんだもん』
そう言って彼は冷蔵庫からプチトマトのパックを持ってくる。食べさせる気ですか?やめて下さい。
「苦手なんだもん、、」
『まだお子ちゃまじゃん』
「うるさい、」
『まあ俺はそんなお前が好きだけど』
「…ねえ、」
『何?』
彼はプチトマトを食べる手を止めた。数秒間彼と見つめあった後、彼の手を引っ張って自分との距離を詰める。
『どうしたの?』
「…いつまで子供扱いするの?」
『プチトマト食べれないくせに大人の扱いしろって?』
「それは…」
『じゃあ他に何があるの』
「……もう私に魅力はないの、?」
『手を出して欲しいってわけか』
「何度誘っても断るから」
『いや〜〜…だって、、』
彼は言葉をつまらせた。やっぱり魅力が無いって思われてたわ。
時計の針が0時を指していた。
明日も授業があるのでもう諦めて寝よう。
もういい、と呟いて拓司から離れようとする。
『おい』
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