第96話 OOOH!


 昨日はクランとしての初依頼成功の打ち上げと称していつもよりも少し豪華な食卓だった。それにリナもいたことでいつもよりも多様な料理が並んだのかもしれない。『和食しか』なんて言っといて、悠里ったら和洋折衷しちゃうんだから〜! とは敢えて声にはすまい。揶揄うのは時と場合を選ぶ必要があるんだよ、うんうん。


 彼女は気付いていないがペルソナとして国際会議の護衛同士という立場で会っており、その後俺たち以外では初めて20層で会った日本の探検者一家である中川家を助けた時にも会っている。なぜ日本の一家と共に20層に来ていたかと言うと、リナは中川家にホームステイしているからだ。そして昨日のマグナカフェの軍曹たちが主催しているブートキャンプにリナが参加していたのだが、ホテルにいると居心地が悪いとのことでログハウスに泊まる事になったのだった。ホームステイ先の中川家でそこの家族と一緒にダンジョンに潜っている件について、リナの故郷にいるであろう親族がそれを許しているかどうかはわからないが、俺たちが気にすることではないだろう。


 ところで最近少し朝が弱い。そんな俺は香織に起こされチビの背に揺られてリビングへ。そしてチビは器用に俺をソファーに転がしたのだが、目を開けるとログハウスの美女たちが勢揃いしていた。小柄で長い髪をオシャレに編んでいる香織、料理から戦闘までそつなくこなす悠里、最近少し髪が伸び肩の上に載り始めた杏奈、そしてログハウスのお姉さん的存在のスナイパーであるさくらだ。そこへ金髪北欧美人であるリナが加わっているのだからついつい「絶景かな〜」とつぶやいてしまったのは仕方ない事だろう。ちなみに昨日は起きていたフェリシアだが三、四日に一度しか起きてこない事が常なので今はぐっすり眠っているのだろう。


 「ゆっくりなお目覚めね〜?」


 「う〜ん。最近朝弱くて」


 「あらあら。それは大変ね〜」


 さくらが立ち上がってこちらのソファーに座り俺の頭を抱えて自分の脚の上にゆっくりと降ろした。


 「あら? まったく無抵抗ね?」


 「そんなにお疲れなんすか〜?」


 「さくら」


 無抵抗に膝枕されることを受け入れると香織がさくらに「次は香織が」と言う。俺としては複数の膝枕を堪能できるのではと少し期待せざるを得ないが、さくらは笑ってごまかしていた。

 これは……何か譲れない戦い的な雰囲気を感じる。真意はわからないが、ログハウスのお姉さん的存在であるさくらはみんながだるぅ〜っとしていてもきっと同じ事をするんだろう。お姉さん的存在とはそういうものなのだろう、知らんけど。


 さくらは『無抵抗ね』と言ったが抵抗しようと思えばできた。だが億劫だったのでしなかったのだ。決してやましい気持ちからではない。決して。

 やましい気持ちなど微塵もない俺だが、膝枕とはなんとも心地良いわけで。自然と目を閉じてしまいそのまま女性陣の会話を聞いているとリナは『OOOH! ハーレムデース!』などと興奮気味だった。

 視界が暗闇のまま、そういえばリナは日本のアニメとか漫画とか好きなんだったっけなどと考えていると、身体の怠さがいつの間にかなくなっていたことに気付き起き上がろうとした。すると側頭部に柔らかい感触と「きゃっ!」という声に驚いて目を開けるとそこには香織がいた。


 「さ、さくらと交代しようと思ったんですが……もう起きちゃうんですか?」


 「え? そのつも」そこまで言いかけ、さくらからの『まだよね』という圧を感じる。しかしずっと膝に載せてもらうのも悪いと思い起きあがろうとするが、やはり圧が強い。屈した俺が「はい」としか言えなくても仕方ないだろう。


 と言う事で今度は香織の膝枕に頭を載せた。もちろん嫌なわけはなく、それどころか身に余る至福ではある。しかし問題がないわけではなく、香織の場合は防具を着込んでいない時は少し屈むだけで顔にやわらかいものが載ってくるのだ。良いのだが、ある意味問題なのだ。


ーー 幸せな問題ですね ーー


 (否定はしない。最近朝が苦手なんだけど、そのおかげではあるな。ところで依頼は来てるのか?)


ーー どちらに対しての、でしょうか? ーー


 (どっちも)


 “どちら”と言うのは御影悠人への依頼とペルソナへの依頼の二つがあるからだ。

 スマホのような電子機器にどうやってか侵入できるエアリスに、名指しの依頼が来ているかを調べてもらう。調べると言っても、探検者は特別なアプリをスマホにインストールすることができ、そのアプリを使えば依頼をすることもできるし依頼を受けることもできる。その際発生する依頼金は連動している探検者免許の口座から引き落とされるという形だ。そのアプリを使わない場合は役所の中に急遽併設された“迷宮統括委員会支部”へと直接赴く必要があり、その場合は依頼金の支払い・報酬受け取りが現金または通常の銀行口座でも可能になる。一長一短だな。


ーー ペルソナへ二件ほど来ていますね。依頼主は迷宮統括委員会本部となっています ーー


 (となるとまた“宣誓”?)


 宣誓というのは、会議などでお互いの安全を確保するためにペルソナのというか俺の能力を使い、危険行為を未然に防ぐ事だ。能力というのは【真言】なのだが、依頼主がそれを知ることはない。その事について、いつの間にか“宣誓”と言われるようになっていた。

 『なぜかそうなる』という認識をされているのだが、なぜそうなるかを調べるための偽会議のようなものもあるかもしれない。まぁバレたところでなんとかなるとは思うが。

 そんな楽観的な気持ちが影響したのか、あることを忘れたままさくらにお願いをする。


ーー 会場は同じ建物内ですので、一日三回が限度の【空間超越の鍵】の使用は一度で済みますね ーー


 (そうだね。扉は開きっぱなしにしておくとして……)


 「ねぇさくら、ペルソナに依頼があるみたいなんだけど」


 「え!?ゆ、悠人君、今は——」


 「あ、今日は都合悪い? 扉の見張りしててほしいなって思ったんだけどさ」


 「そ、そうじゃなくて、ね? えっと、今はその話は」


 何を焦っているんだろう? むしろ依頼の時間がもうすぐなので心地良い枕から離れる決意をしてそろそろ目を開けようと思っているくらいなのだが。


 「ペルソナ? ペルソナが来るんですか!?」


 あっ。となったのは言うまでもない。

 リナの存在を失念していた俺は口を滑らせてしまった。どうにかしてごまかさないと……。そう思っていると悠里がフォローをする。


 「……ペルソナが来るの? 久しぶりだね。それで? 今日は“扉”でどこに送ってあげるの?」


 いやー、さすがっす悠里さん。そんなに簡単に口から出まかせがでてくるなんて! 褒めてるからね? ほんとほんと。ということで乗るしか無いよな、こんなビッグウエーブ!


 「あっ、うん! そう、そうなんだよね。この間と同じ場所なんだけど、送らないといけないなーって」


 「じゃ、じゃあペルソナに会えるんですね!?」


 「い、いやぁ〜、それは難しいかな〜? 今……北海道にいるらしくて」


 「そうなんですか、残念でーす……」


  え、なんかリナ、すごい落ち込んでる? なんだろう、罪悪感。でも仕方ないんだ……。部外者に対して超個人的に一番知られちゃならない事だからな。


 さくらもそれに乗っかる形で「今日は予定がないからお手伝いするわね?」と言い、俺はそれに「ありがとう」と言った。


 とはいえ北海道にいるなんて、そんなので誤魔化せた事実が信じられないがまぁいいだろう。

 悠里のおかげで一難去り、そしてまた一難がやってくる。たぶんペルソナに憧れのようなものを抱いているリナにとって、チャンスは多少無理矢理であっても掴みたい気持ちがあるのだろう。


 「悠人サン! その依頼についていってもいいですか!?」


 「それは……だめ、かな?」


 「ど、どうしてですか!?」


 「守秘義務みたいなものが発生するから、かな?」


 そう、守秘義務。実際に発生するんだろうし、そもそも困った時はそう言えば誤魔化せる場合が多いって誰かが言ってた気がする。


 「うぅ〜」


 悲しいのか悔しいのか、そんな表情のリナを見兼ねたさくらが「ペルソナと肩を並べられるくらいの探検者になればいいと思うわよ?」と助け舟のようなものを出す。リナは無言のままだ。


 「さくら姉さん、そんな無理なこと言っちゃだめっすよ〜。ほら、リナもだんまりになっちゃったじゃないっすか」


 提案したさくらが杏奈によってその難易度を思い出したように焦っている。期待の新人であるリナにそんな高いハードルを意識させるというのは心を折ることにならないだろうかとでも思っているのだろう。さくらはブートキャンプを開催したマグナカフェの軍曹たち、その上官でもあるしな。リナを離脱させる事になってしまったら軍曹たちにとってもマイナスになってしまう。

 実際俺もその難易度に対してそれはちょっと……と思わないわけではない。

 しかしリナはというと、ネガティブな意識からくる無言ではなかったようだ。


 「……いえ、うろこです」


 「え?」


 「目からうろこがドロップデース! さくらさん、さくらオネーサン! うろこがドロップです!」


 「そ、そう? よかった……のかしら?」


ーー そこはフィンランド語じゃないんかい! というツッコミはまだですか? ーー


 (いや、頭の中だけにしておこうと思って。せっかく話がまとまったみたいだし)


ーー それもそうですね ーー


 ログハウスでは女性の立場が強いと俺は思っている。なんだかんだ話はまとめてくれるしこういう時は余計な事を言う必要はないのだ。

 支度を済ませリナをマグナカフェへと送り届け、俺はログハウスへと戻って来た。そして【空間超越の鍵】を使い依頼場所の一室へと扉を繋ぐ。その一室とは、ここでの会議がある事が多いためペルソナ専用に確保してもらっている部屋だ。誰も入らないように、とはされているが、この部屋にはまだ鍵がないため誰でも入る事ができてしまう。そのため【空間超越の鍵】で扉を設置している時は見張りが必要なのだ。


 「『換装』」


 「じゃあ私はここで待ってるわね〜」


 さくらに対し「すぐに戻る」とハードボイルドを演じる。これにも一応理由があって、ここでそのキャラクターになりきっておいた方がぶっつけ本番にならなくて済むからだ。場合によってはさくらがダメ出しをしてくれてキャラと意識を修正してくれるし、助かっている。


 「うふふ。行ってらっしゃい」


 換装しペルソナの仮面が現れると服装や髪の長さも変わる。銀刀を保存袋から出している場合はエリュシオンと置換され、別の世界から召喚されたのではないかと言われてもおそらく不思議ではない容姿になっている。そんなペルソナ(俺)が会議室へと入って行くと室内は途端に静まり返る。よし、キャラ設定をしっかりと反映して、いざっ!


 「少し遅れただろうか?」


 「いいえ、予定時間より一分早いお着きですよ」


 機械音のようにも聴こえる声はエアリスによって仮面に取り付けられた変声機能だ。初めてそれを聞く者は驚いた顔を間違いなくこちらに向けることになり、知る者 (主に日本人)は何事もなかったかのように準備作業を進める。


 「それでは“宣誓”を。」


 海外からやってきた会議の参加者たちは目の前に置かれた自らの母国語が書かれた紙に書かれている言葉を一字一句間違いなく読み上げる。それに対し「その誓いを破らないよう望む」と【真言】を発するだけで完了だ。もし正しく読み上げられていなかった場合はエアリスが知らせてくれる。


 初めて総理に連れられ護衛として参加した国際会議の頃とは違い、こちらが具体的な要求を口にするということををやらなくなったのだが、これが楽で仕方ない。何故なら文言を考える必要がないのだから。マルチリンガルどころかほぼオールリンガルなんて言葉を作ってしまえそうなほど言語を知るエアリスにとっては朝飯前ということだ。

 “宣誓”が効果を発揮していることはエアリスが察知でき、今回も無事発揮されているようだ。

 部屋を出ると先ほど宣誓の言葉が書かれた紙を配っていた女性職員が話しかけてきた。


 「お疲れ様です。ペルソナさんってマルチリンガルなんですか?」


 「そんなことはないが」


 「以前わざと間違えて読み上げた人いましたよね? あの時も指摘してましたしそうかなと思ったんですが」


 それはつまり、この女性職員こそマルチリンガルなのでは。俺のは単にエアリスという翻訳があってこそだ。実際に話せたり文章を書けるわけではない。


 「あっ、気分を害されたのであればすみません」


 「いや、そういうわけではないんだ。能力のひとつのようなものだが……これ以上は」そう言って申し訳ない気持ちを込めて頭を下げ……ようとしたのだが。


 「そ、そんな…っ! 頭をあげてください! こんなところ見られたら左遷されちゃいます!」


 必死に俺の肩を下から押し上げるようにして頭を下げさせまいとする職員の女性は、ちょっと涙目だった。


 「え? いや、まさかそんな」


 「本当なんです。なので頭をあげてください」


 どういうことだろう? このくらいで左遷?いやいや、大袈裟だろう。大袈裟に言ってるだけだよな?

 それが本当かどうかはさておき、いろんな意味ですまないと思いそれを口にする。


 「ペルソナさんって、思ってた印象と違うんですね」


 「変な印象……だろうな」


 「ちょっとだけ……戦隊モノみたいっていうのもなくはないですけど。えっと、以前は怖い人なのかなって思ってたんです。でもこうやって話してくださいますし、会議室から出る時も扉を開けてくれましたし」


 「意外と普通だったか?」


 「普通……よりちょっと良いです。じゃ、じゃあ次の会議室でお待ちしてますので、私はこれで!」


 こんな変なキャラで普通以上と思ってくれるなら、上手くできているということだろう。とはいってもあの女性職員がそういうものに嫌悪しないタイプだっただけという線がなくなるわけではないが。


 もう一件の依頼も済ませさくらがいる部屋へと戻ると「早かったわね〜」と迎えられた。そのまま扉を通りログハウスへと戻ると、そこにはログハウスの面々とリナがいた。


 (あれれぇ? なぜに? さっきカフェに送ってったはずだけど)


ーー これは予想外でした ーー


 「ペルソナ〜! 会いたかったデース!」


 「うぉ! ちょっとやめっ……いろいろあたってるから」


 「っ!! は、はずかしい」


 あ、そういうのは恥ずかしがるんだ。ってかあの時はもっとくっついてきてたのにな。

 思い出すのはやめにして、ちゃんと「久しぶり」と挨拶はしておく。


 「お、おひさしぶりです」


 「リナって本当は奥ゆかしい性格なのかしら?」


 さくらも俺と同じことを思っていたようでそれを聞いてくれる。それに対して頭を抱えて「うぅ〜」と言っているあたり、ほんとは奥ゆかしかったり恥ずかしがり屋だったりという面もあるのだろうなと思った。でもテンションがあがると周りが見えなくなるタイプ、か。

 続けて「何か用事があるの?」とさくらが聞く。俺の代わりに思ったことを聞いてくれてありがたい。


 「そ、そうです、悠人サンにペルソナの依頼について行くのはダメって言われました」


 「そうか、悠人はそんなことを。それで?」


 「ここで待っていれば会えると思って」


 「うん、うん?」

 するってーとつまり、俺に会うために? というかペルソナに会うために? 奥ゆかしいのか積極的なのかどっちかにしてほしいと思ったが、女の子というのはそういう生き物なのかもしれないと思うことにした。やはり男の俺にとって、女性とは難解すぎる生き物なのだ。


 「会えて嬉しいです!」


 「あ、あぁ。元気そうでなにより。……ところでブートキャンプに参加していると聞いたが、今日はないのか?」


 ないのか? と聞いたが、俺はあるのを知って言っている。あくまで今はペルソナさんだからな。ペルソナさん世情に疎い設定を今付けたからそういう感じを演出するのだ。


 「あっ! そうでした! すぐに戻らないといけません!」


 そう言うなりリナはログハウスから走り去った。地上のマグナカフェから21層のログハウスまで一人で来れたのだ、しかも短時間で。そう思えば帰りも問題ないだろうが、念のためにエアリスに監視をお願いした。


ーー フェリシアのおかげで【ホルスの目】の効率化も済んでいますので問題ありません ーー


 「何かあったら【転移】で向かうことにしよう。さて、『換装』っと」


 普段着に『換装』した俺はドカリとソファーへとその身を埋める。依頼はいつも通りなので特に疲れを感じないが、リナがいたことは不意打ちだった。


 「ここまでマグナカフェから走ってきたのよね?」


 「二人が行ってから一時間くらい経ったあたりだったかな?」


 「一時間? 時速何十キロで走ってんだ……」


 「そういえば脚が異常に速くなったって言ってたっすね」


 「やっぱ能力がユニーク以上だと成長率が高いのかなー」


 「リナってユニーク持ちなんすか?」


 「うん」


 「どういう能力なんすか?」


 「秘密」


 「えー、教えてくれてもいいじゃないっすか〜」


 「悠人君が隠してくれてる杏奈の秘密もあるかもしれないわよ〜?」


 「そ、そういうことなら仕方ないっすね」


 斯くして服だけを溶かすスライムが好きな事を、杏奈が隠している事実は秘密のままとなった。


 それはそうとフェリシアからの情報で攻めてくるはずの次のダンジョンのモンスターを迎え撃つ時、マグナカフェでブートキャンプをしている探検者たちにはとある思惑から活躍してもらいたいと思う。そのために依頼以外でも成長の助けになることは何かないかを考える必要があるかもしれない。


 俺を狙って来たというカマキリのモンスターは、精鋭の探検者であればわからないが一般の探検者では手も足も出ないだろう。悠里のように自らの能力でシールドを張れるというなら別だが、そうでないならば見切って全てを回避するしかない。そんなカマキリのような強さのモンスターが他にもいるだろうと仮定すると、前線に立つためには現時点で能力がユニーク等級以上でなければならないと見ている。ステータスが高ければおそらく問題はないだろうが、そもそもステータスの成長は能力に影響されてるらしいからな。未だにレア等級の軍曹は以前俺が、というかエアリスが調整したことで強くはなった。しかしそれ以降はあまり伸びていないように思える。一方ユニーク等級のリナはステータスの調整をせずとも高いステータスを得ていて、ステータスだけを見れば軍曹よりも上だ。


 (能力をユニークに進化させる方法とかないのかな)


ーー 大変申し上げにくいのですが ーー


 (あぁ、ないんだろ? 期待はしてないから大丈夫だぞ)


ーー いいえ、今のワタシであれば可能かと ーー


 (そうなのか? じゃあブートキャンプに参加してる探検者の能力を片っ端からユニークに……)


ーー それにはエッセンスと星石が足りないと思われます ーー


 (それってつまり?)


ーー 軍曹を例にあげると、ステータスを調整したことにより能力の成長が阻害されています。その上で成長させるとなると、自然な進化よりも多く必要になるかと。その分を用意すれば可能性は大いにありますが、探検者全員分となると ーー


 (カフェのメンバーの分くらいはなんとかならないかな?)


ーー 本人たちがどれだけエッセンスと星石を保持しているかに依りますね ーー


 (ふむ。じゃあ出来そうなら能力優先でやった方がいいのか。軍曹に関しては……なんとかしてあげないと俺のせいで行き詰まるかもしれないな)


ーー もうひとつ後々の問題へと発展するおそれが。能力を改竄してしまうと、可能性を摘む結果になりかねない場合が ーー


 少し考え、止めておく事にした。


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