証
勝利だギューちゃん
第1話
四つ葉のクローバー
頭の上に乗せると、妖精が見えると言われている。
しかし、試したことはない。
僕は、四つ葉のクローバーを見たことが無いのだ。
それに、もう歳を重ねた。
純粋な子供ならともかく、汚れてしまった僕には、見えないだろう。
仮にそれが本当だとしても、例外の妖精がいる。
「リャナン・シー」
美しい女性の姿をしたアイルランドの妖精。
彼女は愛する男性の前にしか、その姿を現さない。
しかし、彼女は吸血鬼で、若くして命を奪われる。
その代わりに、後世に残る詩を生みだす事が出来る。
僕は思う。
「正直、もう長くはない。それなら、現れてくれないものか・・・」
人間、どう生きたかが問題なのだ。
だらだら長く生きるくらいなら、短くても太く生きたい。
余命宣告を受けた時、意外と受け入れる事ができた。
出てきた言葉は、
「そうか・・・残念だ・・・」
さばさばしていたと、自分でも思う。
周りは、泣き叫ぶ姿を見て、笑いたかったようだ。
人とはそういうもの・・・
しかし、現実にリャナン・シーなんて、存在するはずもなく、
後世に残せるよな詩を残せるほどの、文才もない。
でもまあ、暇つぶしにはなるだろう。
僕は、詩やイラストを、描きためていた。
もう、数え切らないくらいに・・・
誰に見せるでもなく、自分のために・・・
もし、僕の死後に見つけたら、好きにしてくれ。
【その願い、叶えてあげるね】
(君は?)
【私は、リャナン・シー。】
(本で見るのと、かなり違うね)
【私たちも、変わるからね・・】
(確かに・・・)
【じゃあ、しばらくお世話になります】
(どのくらい?)
【後、一年だよ。君の命は】
(そうか・・・)
【短い?】
いや、一年もあれば十分だ。
証 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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