過熟[冬]

 涙雨

  過熟の果実を

   喰む鶫


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 関係無いのですが鶫って食べてたんですね…。雀みたいなものか…?そんなに大きくはないですよね…?いや、食べれる物は全部食べるべきだったんでしょうよ。うん。(全長24㎝らしいので、雀よりは大きい)

 鶫は渡り鳥で日本では秋から冬に見られる鳥だそうです。あんまり日本では鳴かないみたいですね。噤むから鶫なんだろうか…。

 そんな鶫の句です。私は雨の日には鳥をあまり見ないのですが、どうなんでしょうね…?弱い雨なら出ているのでしょうか。羽、水を吸って重くなりそうですが。でも今回は出てきてもらいました。絵面の為に。

 とは言え涙雨なので多分、大丈夫でしょう。涙雨は僅かに降る雨、若しくは悲しみの象徴の雨なので。決して豪雨では無いですね。擬音として「しとしと」と降る雨です。

 鳥は木の枝に留まっている様子を想像する場合が多いのですが、鶫は地面でピョンピョンしているのが可愛いもとい印象的なので作者のイメージはそっちです。枝にいて不都合は無いのでどっちでもいいと言えばいいのですが。

 ただ鶫が地面にいるか枝にいるかは、果実の熟し具合に影響を及ぼすかもしれません。果実はいずれ枝から落ちるという事を前提にすると、地面に落ちた果実の方が熟していると推測できます。基本的に果実は熟している方が甘くなるのですが、まあ熟し過ぎると結構見た目が…。見た目重視なら枝、作者としては地面というところですね。

 何故、作者として地面にある方を推しているのか。それはまあ、最初の『涙雨』のせいですね。先にも書きましたが、これは悲しくて泣いているという暗喩でもあります。では何故泣いているのか。それは『過熟の果実』どいう言葉から推測して頂きたいと思います。何故態々『過熟』なのか。この言葉は文字通り熟し過ぎたという事です。物事には時期というものが有りますが、その時期を過ぎてしまった果実となります。

 では何故この果実は時期を逃してしまったのか。この句において他に書かれているのは鶫です。鶫=噤む。即ち、喋らなかった。この果実が過熟となったのは言わなければならない事を言わなかったから。言わなかったから、鶫に食べさせるしかなくなりました。

 勿論、そのままの意味ではありません。この果実も代替品です。作者としては「言えなかった思いが腐りかけてしまった。悲しい」という感覚で書いています。うーん、読み取ってもらうには無理がある。

 長々と書きましたが、普通に読んでもらっても中々物悲しい光景なのでそれはそれでも大丈夫です。

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