第13話デリラ視点
王太子殿下に刺客が放たれましたね。
どう考えてもブリーレの仕業だと思うけれど、証拠は出ないでしょうね。
いえ、あったとしても、殿下が握り潰してしまわれるわね。
殿下はできるだけ長くレナードを側に置きたいと思ってるから。
この事件は長引いて欲しいはずですからね。
さてどうすべきでしょうね。
私は御姉様さえ家にいてくださればいい。
と言うか、御姉様が家にいてくださるようにするには、どうすべきか?
殿下の願いを踏みにじり、ブリーレ加担の証拠を手に入れるか。
それとも殿下の願い通りに動いて、事を長引かせるか?
「どうしたの、デリラ。
なにか心配事でもあるの?
私の頼みは難しいの?
でもこれ以上、私のために殿下やレナードに迷惑かけられないわ。
これはハント男爵家の問題だと思うの。
だからデリラの知恵を貸して欲しいの」
いけない、いけない!
大切な御姉様と二人きりの時間なのですから、他の事を考えるなど勿体ない。
謀略など後で考えればいい事です。
それにどのような謀略も、正しい情報がなければ無意味です。
まずは父上様の情報を待ちましょう
「御姉様。
お茶を飲みませんか?
お腹が空いていては碌な策も浮かびません。
ゆっくりお茶をしながら一緒に策を考えましょう」
「そうね。
デリラの言う通りね。
それにデリラにだけ任せるのは無責任ね。
私も一緒に考えるわ。
でも、先にお茶をいただきましょうか?」
「はい、御姉様」
ああ、なんて可憐なんでしょう。
お茶を飲む姿も、菓子を食べる姿も、名人の描いた絵画のようです。
御姉様の美しさは別格です。
まるで妖精がこの世に現れたようです!
「ねえ、デリラ。
今回の件にクリスチャン様は係わっておられるのかしら?」
父上様の情報はまだだけど、十中八九加わっているわね。
それを御姉様に話してもいいのかしら?
まあ、私が黙っていても無駄ね。
父上様は情報の大切さをご存じだから、御姉様に黙っていることはないわね。
情報の共有は家族の常識ですもの。
その上で、御姉様と私が長く一緒にいられる方法を考えるべきね。
「父上様の情報が届くまでは、確かな事は言えませんが、恐らくかかわっていると思われます。
ブリーレだけの力で、御姉様から聞くほどの手練れを集められるとは思えません。
オースティン侯爵が係わっているかは分かりませんが、クリスチャン様が係わっているのは間違いないでしょう」
「そう。
だったら覚悟を決めないといけないわね。
私たちだけで、クリスチャン様とブリーレを殺す事はできるかしら?」
さすがは御姉様。
覚悟を決められた時は、容赦されませんわ!
このような時に、御姉様と私の血の絆を感じる事ができます。
でもこれは、他の誰にも言えない事。
家族だけの秘密。
ハント男爵家の謀略は、全て私の独断だと世間に思わせるなくてわね。
本当に怖いのが御姉さまだと言う事は秘中の秘です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます